取締り強化? 規制緩和? 電動キックボードの扱いは結局どうなる? 検討されている新ルールとは
警視庁が電動キックボードの取締りをする様子が伝えられた翌週に、今度は警察庁が規制緩和を検討しているという報道がありました。電動キックボードを巡る規制と方針は、どのような枠組みで決まり、今後どうなっていくのでしょうか。
規制緩和の検討、なぜ今?
警察庁が電動キックボードに対して運転免許を不要とするなど道路交通法の改正を検討していると、一部メディアが2021年12月23日に報じました。
これを受けて、ネット上では電動キックボードに対して普及促進につながると歓迎する声がある一方で、「なぜ、このタイミングで?」とか「なんだかよく理解できない」と、規制緩和について困惑する人も少なくないようです。
なぜそうした事態になっているかといえば、この報道が出る少し前の12月15日に東京都港区で、警視庁による電動キックボード取締りの様子が報道陣向けに公開され、その模様がテレビやネットで広く紹介されたばかりだったからではないでしょうか。
警視庁によると、2021年は11月末までに電動キックボードが関係する事故が60件発生し、16人が負傷しています。
事故が増えてきたからこそ、交通ルールを遵守してもらうため取締りを強化し、また車両の区分に応じた反則切符を切る場合があるということを周知するために、警視庁が積極的に広報活動したといえます。
警視庁はこの取締りの様子を公開する2か月ほど前、交通事故防止の取り組みの観点で「電動キックボードについて」としてウェブサイトに車両の技術要件、運転免許、保険、ナンバープレートの必要性などを詳しく紹介しています。
具体的には、「キックボード(車輪付きの板)に取り付けられた電動式のモーター(原動機:定格出力0.60キロワット以下)により走行する電動キックボードは、道路交通法および道路運送車両上の原動付き自転車に該当する」と説明しています。
つまり、運転には原動機付き自転車を運転できる二輪免許や四輪免許が必要で、走行するのは左側通行の車道のみです。歩道は通行できませんし、ヘルメットの着用義務もあります。
また道路運送車両法の保安基準に合致していて、自動車損害賠償責任保険または自動車損害賠償責任共済に契約していなければなりません。
そのほか、区市町村税である軽自動車税の納付義務があり、納付により交付されるナンバープレートを取り付けていなければなりません。
さらに「販売する方へ」として、電動キックボードの販売取扱店には、法規などについて丁寧に説明することを要望すると同時に、「『運転免許がなくても公道で乗れる』等の虚偽の宣伝や説明をすると、刑事責任を問われる場合があります」と厳しく通知しているのです。
ところが、都内などでは電動キックボードをノーヘルで走行していても、交番の警察官もパトカーもその電動キックボードに乗る人を呼び止めようとはしない――そんな光景を見た人もいるでしょう。
そうこうして、警視庁による情報提示から2か月後には、運転免許不要だとか、ヘルメット着用は任意だとか、また条件によって歩道も走れるといった、警察庁の規制緩和の方針が表に出てきたのです。
確かに、こうした電動キックボードを巡るここまでの流れを振り返ってみると、多くの人が「一体どうなっているの?」という素朴な疑問を持つのは当然のように思えます。
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