正月定番の「集団暴走」はどんな違反になる? 「共同危険行為」で1発免取りの可能性も
かつて正月の風物詩として「初日の出暴走」がテレビなどで取り上げられていました。では、集団で暴走する行為はどのような違反になるのでしょうか。
仲間と走るのは楽しい面もあるが、度を超えれば「集団暴走行為」になるかも
最近では珍しくなったものの、かつて正月の風物詩として「初日の出暴走」がテレビなどで取り上げられていました。
現在でも、富士山周辺などでは初日の出暴走を取り締まる対応をおこなうことがあるといいますが、集団で暴走する行為はどのような違反になるのでしょうか。
2021年11月15日、首都高速道路の湾岸線下り・川崎航路トンネル付近にて、クルマの窓枠に腰掛けて上半身を乗り出した「箱乗り」運転をした男が2人逮捕されました。
事件の男性らは、友人とともに計4台のクルマで追従走行しており、道路交通法第68条の「共同危険行為等禁止違反」(以下、共同危険行為)に違反したとして逮捕されています。
共同危険行為等の禁止では、「2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない」とされています。
今回は、2台以上のクルマで危険行為を共同しておこなったことで、逮捕にいたっています。
共同危険行為となった場合、25点の違反点による運転免許の取消し(欠格期間2年)加え、刑事罰として2年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
一方で当然のことながら、単独であれば箱乗りが許されるわけではありません。
単独の場合、共同危険行為が適用される可能性は低いですが、少なくとも安全運転義務違反に該当する可能性があります。
安全運転義務違反は、道路交通法第70条に定められており「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とされています。
また、安全運転義務違反は、「操作不適」「前方不注意」「動静不注視」「安全不確認」「安全速度違反」「予測不適」「その他」の7つに分けられています。
箱乗りのように、ハンドル操作やペダル操作が確実ではない場合は操作不適とされ、たとえ単独であっても違反行為と見なされる可能性があります。
一方で、操作不適には、窓への肘掛けや窓から手を出す行為も度を越すと該当するかもしれません。
そもそも操作不適は、前述したように、ハンドル操作やペダル操作が確実ではない状態を指しています。
例えば、ハンドル操作は両手でハンドルを握っておこなうのが基本です。
両手でハンドルを握っている場合と片手で握っている場合では、ハンドルの可動域が異なります。
日常的にクルマを運転している人であればすぐにイメージできるかもしれませんが、片手でのハンドル操作には限界があります。
もし、運転者が窓から手を出している場合は、ハンドル操作が片手のみになっており、万が一、道路に人が飛び出してきた場合や、ほかの車両と接触しそうになった場合に対処することができないかもしれません。
そうした場合に事故を起こしてしまうと、安全運転義務違反(操作不適)として、取締の対象と見なされるといえます。
また、そうした行為は自身が危険であることはもちろん、周囲のクルマを巻き込むような事故を起こす可能性もあります。
安全運転義務違反と見なされた場合、普通車では違反点数2点、9000円の反則金が科せられます。
箱乗りは極端な例ではありますが、窓から手や身体を出すことは、非常に危険なので絶対にやめましょう。