ホンダ「オデッセイ」が27年の歴史に幕!「ミニバン」ブームの火付け役が残した功績とは

ロー&ワイドで“チョイ悪”だった3代目オデッセイ

 オデッセイが初めてのフルモデルチェンジを迎えたのは1999年。大ヒットモデルの後継とあって2代目はスタイリングもキャラクターもキープコンセプトでしたが、居住性の拡大と使い勝手の向上を目的にボディサイズは初代より全長は20mm、全幅は25mmほど大きくなりました。

 その一方でもともと低かった車高はさらに15mmほど下げられ、より一層の滑らかな走りを実現。マイナーチェンジを機に走りを磨いたスポーティグレード「アブソルート」も追加されました。

立体駐車場も利用可能な低い全高が特徴だった3代目オデッセイ
立体駐車場も利用可能な低い全高が特徴だった3代目オデッセイ

 2度目のフルモデルチェンジは2003年に実施されました。2代目が初代のキープコンセプトだったのに対し、3代目は一転してまったく雰囲気の異なるクルマへと進化。車両型式も初代と2代目は「RA」から始まりましたが、3代目は「RB」へと改められています。

 何より驚かされたのが、その背の低さです。もともと全高が低い初代オデッセイを15mm下げたのが2代目で、3代目はそれよりさらに80mmも低いのです。

 全高はなんと1550mmに抑えられ、ミニバンでありながら機械式立体駐車場への入庫を可能としました。

 もちろん単純にルーフを低くしただけではありません。燃料タンクの形状や材質、排気管の取り回しなどに工夫を凝らしフロアを低め、室内空間を犠牲にすることなく低い全高を実現しているのです。

 ちなみに、全高は80mm低くなっていますが、室内高は逆に5mmほど拡大されています。

 エクステリアはいっそうスポーティな雰囲気でまとめられ、インテリアは曲線的なダッシュと近未来的なメーターナセルが特徴。2列目キャプテンシート仕様は廃止され、7人乗車モデルだけの設定になりました。

 パワーユニットは初代、2代目とは異なりV型6気筒ユニットは用意されず、搭載されるエンジンは2.4リッター直4DOHC i-VTECのみ。

 標準仕様が160馬力、スポーティなアブソルートは200馬力へとパワーアップし、トランスミッションは5速ATに加え、一部のグレードでは7速マニュアルモード付CVTが採用されました。

 初代オデッセイの大ヒットを受けてトヨタ「イプサム」をはじめ多数のライバル車が登場しましたが、徹底した低全高スタイルは一線を画す存在で、3代目オデッセイもまたスマッシュヒットとなりました。

 4代目は3代目からのキープコンセプトで2008年に登場。視認性や安全性など細部を突き詰めると同時に、ハンドリングにさらに磨きをかけましたが、消費者のニーズとズレが生じたためか販売成績は不本意な数字にとどまりました。

 そうした反省を踏まえ2013年にデビューしたのが5代目のオデッセイです。車両型式が3代目、4代目の「RB」から「RC」へと改められていることからもわかるように、歴代のオデッセイとはまったく違うクルマへと進化しています。

 まず大きく異なるのがボディサイズです。全幅こそ1800mmと変わりませんが、全長は4855mmへと55mmも延長。初代から4代目まではホイールベースは一貫して2830mmでしたが、新開発のプラットフォームでは2900mmへと70mmほど伸ばされています。

 もっとも拡大されたのが全高で1695mm。低くワイドなオデッセイならではのフォルムは一般的なミニバンのそれに改められました。

 あわせてアイデンティティでもあったリアのスウィング式ドアをスライド式に変更。居住性と使い勝手を優先したパッケージングとなっています。

 大きくなり高級感を増した5代目は、サスペンション形式も一新。スポーティな前後ダブルウィッシュボーン式からストラット式(前)、ドディオン式(後)を採用しました。

 搭載されるパワーユニットは新開発の2.4リッター直列4気筒DOHC i-VTECガソリンエンジンと、オデッセイ初となるハイブリッドを用意。後者は2リッターエンジン+モーターの組み合わせで、大柄なミニバンながら26.0km/L(FF・JC08モード)もの低燃費を実現しています。

 低床プラットフォームによる走りの良さをキープしながらもミニバンとしての機能性も大きく向上させた5代目ですが、思うように販売は伸びませんでした。

 2020年11月には大がかりなフェイスリフトを実施し評判も上々でしたが、2021年6月に年内をもって販売終了となることがアナウンスされました。

※ ※ ※

 ミニバンブームの火付け役でありホンダの屋台骨でもあったオデッセイも、ついに終焉の時を迎えます。

 直接のライバルとされたトヨタ エスティマが絶版になったことからもわかるように、SUV全盛の現代は、ミニバンにはより背が高く効率的なパッケージングが求められているのでしょう。

 5代目オデッセイの走りの良さと、広大な居住空間は大いに魅力的です。低重心により安定した走りのミニバンを新車で手に入れるのは、いまがラストチャンスです。

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1件のコメント

  1. 常連を突如「駐車場に高さ制限あるやつは新型買うな」と蹴り飛ばしたのは大きな失態
    1551mm~16999mmはSUVと軽ハイトワゴン以外今時売れない
    一度高さ制限1550mに絞ったなら例えスライドドアになろうとその高さは全うすべきだった

    オデッセイは一度『高さ制限1550mm』という名の森に引き篭もって生き残りを図ってしまった以上
    森を捨ててまで平原に出てしまえばアルファードという猛獣に襲われて
    オデッセイはたちまち駆逐されてしまうのは必然的な自殺行為だった

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