パワフルな「クリーンディーゼル」はアウトドアと相性良し! ちょい乗りは不向き!? メリット・デメリットとは
「カーボンニュートラル」を実現させるためにハイブリッドやEVが注目されていますが、一時は人気だったクリーンディーゼルにもまだ捨てがたい魅力があります。クリーンディーゼルの魅力とは、どのようなところにあるのでしょうか。
クリーンディーゼルは長距離移動が多い人に向いている!?
「カーボンニュートラル」を目指し、ハイブリッドやEV化が推進されている現在ですが、環境への負荷を大幅に減少させたクリーンディーゼルもまだまだ捨てがたい魅力があります。
とくに最近は原油高の影響で燃料価格が高騰しており、ガソリンよりも単価が安い軽油を使用するディーゼル車に再び脚光が当たりそうです。
クリーンディーゼルの魅力はどのようなところにあるのでしょうか。また、メリットとデメリットも検証してみます。
軽油を燃料とするクリーンディーゼルは、前述のようにガソリンエンジンよりも燃料代が安価で済みますが、一方でその構造上、不完全燃焼によるススや、高温の燃焼による窒素酸化物が多く発生し、さらに音や振動も大きくなりがちとういデメリットがありました。
以前はディーゼル車の排出ガスによる環境汚染が問題となり、2003年に厳しい基準の「ディーゼル車規制条例」が制定。これを受けて開発されたのがクリーンディーゼルです。
音や振動も静かになり、排出ガスも(以前よりはるかに)キレイになったことで「環境にやさしいクルマ」として注目を集めたのは記憶に新しいところでしょう。
近年ではハイブリッド車の普及やピュアEVの登場などで注目度こそ高くはありませんが、「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策補助金(CEV補助金制度)」の対象にもなっており、エコカーの一種であることは変わりないようです。
クリーンディーゼルのメリットとしてまず挙げられるのが、燃費の良さです。さすがにハイブリッドには及ばないものの、同じ排気量ならガソリンエンジンより2割から3割も熱エネルギーの変換効率が良い=熱効率が高いといわれています。
さらに軽油を使用するという燃料代の安さも大きな利点です。最近の原油高で軽油自体も値上がりはしていますが、レギュラーガソリンと比べれば20円/Lほど安価で、まだまだ経済的といえます。
ただし、窒素酸化物の低減に「尿素SCRシステム」を装備している車両では、走行距離に応じて定期的に尿素水(アドブルー)の補給が必要となり、本来は高額なものではありませんが、尿素水不足の韓国では価格高騰が報じられています。
また、ディーゼルエンジンの特徴として、高回転での最高出力こそ控えめですが、燃焼エネルギーの大きさもあってトルクの太い走りが期待できます。
一方でデメリットもあります。それはメンテナンス費用(維持費)の高さです。
そもそもディーゼル車は、オイル交換のタイミングがガソリン車より短いといわれています。またエンジンオイルもディーゼル専用でなければならず、ガソリン用より維持費は高くなるケースが多いようです。
さらに、クリーンディーゼルには排気ガスに含まれる粒子状物質(主にスス)を取り除く「DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)」と呼ばれる装置が取り付けられています。
これが意外に厄介で、普段使いの短距離移動ばかりはすぐに粒子物質が溜まってしまい、フィルターが目詰まりを起こしてしまうといいます。
ちなみに100km以上の長距離走行ではこの粒子物質を燃焼させることができるのですが、近距離ばかりの走行が続くシビアコンディションでは不具合が出やすく、故障の原因にもなり、「DPR(または「DPD」)」と呼ばれるメンテナンス作業(粒子状物質に燃料を吹き付け燃焼)が必要になります。
これは専用の診断機が必要になるため、ディーラーや整備工場に持ち込む手間と工賃がかかります。
そのため、クリーンディーゼルは普段から長距離走行が多い人に向いているエンジンともいえ、日常の足として1回の走行が近距離ばかりという場合は、ガソリン車のほうがメンテナンスの手間が少なく済むということもあるでしょう。
また、ガソリンエンジンよりも排出ガスの浄化装置が多く車両価格も高額になることや、補機類の追加とエンジン各部の強度を上げる必要から、車両重量も重くなってしまいます。
それでもクリーンディーゼルならではの力強い走りと優れた燃費性能、環境性能は魅力で、世の中が100%カーボンニュートラルにでもならない限り選ぶメリットは大きそうです。
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