タクシーの「運ちゃん」呼称は差別用語? 世の中に浸透する「●ちゃん」は時と場合で使用控えたほうが良い訳とは
「運ちゃん」の背景にある「雲助」の歴史が存在!? 雲助とはどんな役割?
前述の通り、日本にタクシーが登場したのは1912年のことでしたが、人を運ぶという仕事時代はさらに古くからありました。
江戸時代中頃には、川や山間部などの通行が困難な場所で、人や物を運搬する「人足(にんそく)」と呼ばれる人たちが存在していました。
幕府によって許可された人がこの人足として働いていましたが、そのなかには許可を得ていない「ならず者」も一定数存在していたとされています。
そうした一部の人足のなかには、窃盗や恐喝のようなことをおこなう者がいたといい、決して評判の良い職業ではなかったといわれています。
人足は「雲助(蜘蛛助)」とも呼ばれ、その由来には、「雲のように不安定であること」や「蜘蛛のように網をもって客を張っている」などの説があります。いずれにせよ、ネガティブな意味合いを含んでいる言葉といえます。
明治時代には人力車が多く見られるようになりましたが、当時の様子を描いた小説などを見ると、人力車を引く車夫も「雲助」と呼ばれることが多くあったようです。
実際に人足から車夫に転じた人も多かったといい、昭和初期に活躍した小説家坂口安吾の「(明治開化)安吾捕物」では、人力車の車夫を「客によっては酒手をたんまり強奪しようという雲助稼業である」と表現している部分があるなど、ならず者文化は継承されていたと考えられます。
さらに後年、車夫がタクシー運転手へと転じていったことで、タクシー運転手も「雲助」と呼ばれるようになりました。
また、かつて、タクシー運転手が乱暴な運転をするケースもあり、ならず者文化も一部では継承されたと感じ、タクシー運転手をネガティブにとらえる人がいたようです。
戦後は、単に愛称としてタクシー運転手を「雲助」と呼ぶ人もいたようですが、その歴史的背景から、「雲助」を差別的な表現だと感じるタクシー運転手も少なくなかったでしょう。
近年ではほとんど見なくなりましたが、1999年にはある裁判官がタクシー運転手のことを「雲助」と表現したことが職業差別的な意味合いを含んでいるとして、問題となったことがありました。
明治時代に入り、少なくとも法律上の身分社会は撤廃されましたが、現実的にはさまざまな差別が根強いのも事実です。
そのひとつに職業差別がありますが、「運ちゃん」という言葉自体に職業差別的な意味合いはなくても、タクシー運転手に対して上下関係を強調する言葉であることから、視聴者に対して職業や身分の上下を意識させるおそれがあり、公共放送では好ましくない表現とされているようです。
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現代において、「運ちゃん」という表現を使用する人の多くは、差別的な意味合いではなく、親しみを込めて呼んでいる場合がほとんどでしょう。
差別的な発言をすべきでないのは当然ですが、時として意図せず差別的な表現としてとらえられてしまうこともあります。
また、同じ言葉でも、TPOによって受け取られ方が変わることもあることを理解してことが重要といえそうです。
クリスチャン・ハンセン
差別問題を大げさに騒ぐ輩程、
本当は差別的な見方にとらわれており、
差別発言をしたものを差別して満足しようとしてる愚かな状況に見えるんだが、
差別問題を解決する真の方法は、
ひとそれぞれに違いがある事を認め合う事
多様性を認め合う事ではなかろうか。