半導体不足でクルマの生産がピンチ!? そもそも半導体って何? どこに使われている?

いま、自動車業界は世界的に半導体不足に悩まされています。トヨタが10月15日に発表した11月の生産計画でも、「部品供給不足による見直し」により、国内の全14工場28ライン中4工場6ラインの稼働停止を発表するなど、深刻な状況が続いています。なぜ、半導体不足が続いているのでしょうか。そしてそもそも半導体とはなんのことをいうのでしょうか。

コロナ禍による操業停止から一転、各業界で半導体の奪い合いに

 いま、半導体不足が自動車業界に大きな影響を及ぼしています。

 この問題は2020年後半から2021年にかけて明るみになりましたが、それから1年近く経ったいまでも、解決は見通せていません。

半導体とはいったいどのようなものなのだろうか(写真はイメージ)
半導体とはいったいどのようなものなのだろうか(写真はイメージ)

 たとえばトヨタは、2021年9月10日に、9月および10月の生産計画見直しを発表しました。

 その要因として「東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大の長期化」とともに「半導体逼迫の影響」を要因として挙げています。さらに同年10月15日におこなわれた11月の生産計画についての発表でも「半導体逼迫の長期化も見据える」とし、問題解決がさらに長引くことを示唆しています。

 またメルセデス・ベンツの2021年第3四半期(7月から9月)は、前年同期比マイナス30.2%の42万8361台、BMWグループ(BMW、MINI、ロールスロイスなど)は、前年同期比マイナス12.2%の59万3189台と、日本メーカーだけでなく海外メーカーも同様の理由での生産台数の縮小を余儀なくされています。

 ではなぜ半導体がいま、不足しているのでしょうか。

 その前に「半導体とは何か」について、簡単に紹介したいと思います。

 物質は、電気を流す「導体」、流すことができない「絶縁体」、そして条件により電気を流すことができる「半導体」に分かれます。

 この半導体に別の物質を混ぜ、組み合わせると、電気を増幅したり、整流したり、さらには超小型のスイッチとして使うことができます。その性質を利用し、薄くスライスした半導体の上に細かい電子回路を配置し、データを記憶したり、演算したりする機能を持たせたものが「IC(集積回路)」です。

 このICの発明により、電子部品の小型化は加速度的に進み、それが電化製品の小型化、高性能化につながりました。テレビが薄型化しつつ価格低下したのも、手のひらに収まるスマホが高性能化したのも、すべてこのICのおかげなのです。

 そして現在“半導体”という言葉は、物質そのものではなく、ICなど半導体を使う「半導体部品」全般を指すことが一般的となっています。つまり現在、問題となっている「半導体不足」とは、「半導体部品不足」なのです。

 では今、なぜ半導体が不足しているのでしょうか。

 その発端は、コロナ禍での半導体関連工場の操業停止や、物流の停滞でした。そうした供給側の問題に加え、コロナ禍で“巣ごもり需要”が発生、テレワークのためのPCやウェブカメラ、自宅で楽しむ娯楽としてのゲーム機や大型テレビなど、半導体を使う機器の需要が拡大しました。この供給と需要の双方の事象が引き金となり、「半導体が足りない」という事態になったのです。

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