メーカーの未来を変えた存在? 貢献度がスゴかった車3選

今でこそ、日本の自動車メーカーは輸出だけでなく世界各国に営業拠点と生産工場を持っており、当然のようにグローバルでクルマを販売していますが、本格的な海外進出が始まったのは1960年代の終わりごろからです。そして、海外進出に尽力したクルマも存在。そこで、各メーカーの輸出に対して貢献度が高かったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

世界進出に多大な貢献をしたクルマを振り返る

 今や世界中の自動車メーカーは自国だけの販売だけでなく、グローバルに展開するのが当然の世の中になりました。

各メーカーの海外進出に多大な貢献をしたクルマたち
各メーカーの海外進出に多大な貢献をしたクルマたち

 欧州全体や、アメリカ、中国、インドなどには巨大なマーケットがあり、各メーカーが積極的に進出しています。

 日本の自動車メーカーはもはや内需だけでは経営状態は成り立たず、輸出や海外に営業拠点と工場を設立して、各国のニーズにマッチしたクルマの販売をおこなっています。

 国内メーカーの海外進出は1960年代の終わりごろから本格化し、現地生産は1980年代から始まりましたが、当然ながら最初から海外進出がスムーズに成功したわけでなく、さまざまな困難が待ち構えていました。

 しかし、各国内メーカーには海外進出の礎になったクルマも存在。そこで、海外進出に多大な貢献をしたクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「40系 ランドクルーザー」

今も世界中で活躍して愛されている「40系 ランドクルーザー」

 トヨタは1950年代の初頭からアジア圏や中南米に輸出を始め、1958年には初代「トヨペット クラウン」を、アメリカで発売し、さらに1960年には「コロナ」をベースにした「ティアラ」を北米で展開しました。

 しかし、クラウン、ティアラとも品質や性能的な問題からアメリカ市場で受け入れられず、1960年末には輸出を停止する事態へと発展。

 そこで、両車の代わりに輸出されたのが、1960年に誕生したクロスカントリー4WD車の「40系 ランドクルーザー」です。

 40系 ランドクルーザーの車体は強固なラダーフレームにボディを架装した構造で、トルクフルなエンジンとストロークの長いサスペンションによって、高い悪路走破性と耐久性を実現。

 ボディバリエーションはホイールベースによってショート、ミドル、4ドアロングに分けられ、ソフトトップとメタルトップを設定し、海外ではさらにロングホイールベース化されたピックアップトラックやボディ後部を架装しないキャブシャシなどもラインナップしました。

 アメリカでも40系 ランドクルーザーの性能が認められ、販売台数は1961年に249台だったのが1964年には2595台へと、4年間で10倍以上に増加したといいます。

 トヨタは成功を収めた40系 ランドクルーザーを足がかりとしてアメリカでのディーラー数を増やし、改良された3代目コロナが再び輸入されるとヒットを記録。改めて本格的な北米進出を果たすことになりました。

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●日産「510型 ブルーバード」

先進的なメカとスタイリッシュなデザインから日米でヒットした「510型 ブルーバード」

 日産は1966年に、ダットサン「サニー」を発売。1967年にはサニーの上位モデルとしてボディサイズを大型化した、ミドルクラスセダンの3代目「ブルーバード」を発売し、同年にはアメリカへもダットサン「510」の名で輸出されました。

 日産は1958年にアメリカへ進出を果たしましたが、当初はディーラー網の整備が遅れ、性能的にもアメリカ車にはとうてい及びませんでした。

 そこで、起死回生の一打として登場したのが、510です。

 外観のデザインはエッジの効いた直線基調のシャープなフォルムで、日産は「スーパーソニックライン」と名付け、ボディタイプは2ドアと4ドアセダン、クーペ、ステーションワゴン、ライトバンを設定。

 エンジンは最新の1.3リッターと1.6リッター直列4気筒SOHCエンジン「L型」を搭載し、後に1.4リッター、1.8リッターと排気量が拡大されました。

 そして、3代目ブルーバードで特筆すべきは、スポーティグレード以外にもセミトレーリングアーム式リアサスペンションの4輪独立懸架を採用した点です。

 アメリカでは2ドアセダン、4ドアセダン、ステーションワゴンのボディバリエーションで、510は欧州車のようなスペックながら低価格というバリューの高さから大ヒットを記録。

 その後のダットサン「240Z」(フェアレディZ)のヒットにつながる礎となり、さらに日産の世界進出への道を開きました。

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●ホンダ初代「シビック」

低燃費かつ画期的なクリーンエンジンを搭載した「シビック CVCC」

 ホンダはオートバイメーカーとしての実績があったことから、1960年代から4輪自動車の販売でもアメリカや欧州へ進出を果たしました。

 主なモデルはスポーツカーの「Sシリーズ」や、軽乗用車の「N360」をベースにした「N600」でしたが、オートバイほどの成功には至りませんでした。

 そんななかホンダは1972年に、次世代のコンパクトカーである初代「シビック」を国内で発売。コンパクトなボディながらFFを採用したことで広い室内を実現し、優れた経済性と走りによってヒットを記録。

 1973年からシビックはアメリカや欧州へ輸出されましたが、とくにアメリカではビッグ3がつくる巨大なボディと大排気量のモデルとは対極にあったため、人気とはなりませんでした。

 しかし、第1次オイルショックが起きたことにより、アメリカでも低燃費車への関心が高まり、シビックの販売台数が急増。

 さらに1974年には、パスすることが不可能とまでいわれていたアメリカの排出ガス規制、通称「マスキー法」の規制値を世界で最初にクリアしたCVCCエンジンを搭載したシビックがアメリカに上陸し、低燃費なだけでなくクリーンなクルマとしてヒットしました。

 シビックは現在も北米市場で、「CR-V」に続く主力車種の1台です。

※ ※ ※

 トヨタは2021年8月1日に、冒頭で紹介した40系 ランドクルーザーの純正部品の復刻販売をおこなうと発表しました。

 これは、40系は生産終了後数十年を経過していますが、趣味のクルマとしてだけでなく人の命や暮らしを支える「現役選手」として活躍しているからです。

 まずは「走る・曲がる・止まる」に関連する重要機能部品(エンジン・駆動・排気系など)について復刻をおこなうとのことですが、こうした取り組みが実施されるほど40系が愛されているということでしょう。

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