あえて「アゲすぎない」が流行り? 絶妙な「ジムニー」カスタムがトレンドに? キーワードは「1インチ」のワケ
スズキ「ジムニー」はカスタムのベース車としても人気があるモデルです。カスタムの定番方法にはリフトアップが挙げられますが、最近ではあえてアゲすぎない「1インチアップ」が流行りつつあるといいます。
アゲすぎない「1インチアップ」がジムニーで流行るワケ
「街を走ればジムニーにあたる」ほど、今や国民車になりつつあるスズキ「ジムニー」。
ライフスタイルをアピールできるクルマとして、とくにアウトドア派に人気を博しています。
“素”のまま乗ってもカッコいいのですが、昨今のユーザーは自分流にカスタムする人が増えているようです。
ジムニーのカスタムには定番のメニューがあり、まずタイヤ&ホイール、そして前後バンパーのショート化、そしてリフトアップサスペンションの装着がスタンダード。
これは1980年代の2代目ジムニーあたりから流行し、3代目、4代目と受け継がれています。
現行型ジムニーではこれに加えて、フロントグリルの交換やルーフラック、リアラダー、そしてワークランプの装着がムーブメントになりつつあります。
現在のジムニーはそのデザインがスクエアかつネオクラシックになったことで、1980年代、1990年代のカスタムが復活している感もあります。
発売から3年、かなりの台数のジムニーがユーザーの元に届いたことから、活況を呈しているジムニーカスタム業界ですが、やはりカスタムの花形といえばリフトアップサスペンションです。
ノーマルのジムニーは、メーカーが安全性や走行性などを考慮してセッティングしたサスペンションが装着されています。
ロードクリアランスについても熟慮の末で導き出された数値になっています。
とくに、過去に北米で走行中の横転が問題になったことがあるため、その点についてはメーカーも熟慮しているのではないでしょうか。
一方で、ノーマルタイヤはいかにも貧弱なオールテレーンタイプが装着されており、ボディに対してアンバランスな感もあります。
しかし、タイヤをあるサイズ以上にすると、今度はホイールハウスに干渉する恐れがあります。
そこで、リフトアップサスペンションの装着となるわけですが、リフトアップすることによって3アングル(アプローチアングル、デパーチャーアングル、ランプブレークオーバーアングル)が拡大して悪路走破性を向上させることができるという目的も達成することができます。
これまでジムニーのリフトアップといえば、2インチから3インチ上げるというのが定番でした。
これにショート化した前後バンパーを装着してさらに3アングルを稼ぎ、ちょっとやそっとのオフロードはものともしないジムニーに仕立てるのです。
さて、ジムニーをリフトアップする場合、ノーマルよりも長いコイルスプリングとダンパーを装着します。
しかし、あまり長いスプリングとダンパーに交換するとボディと車軸の位置関係や車輪のキャスター角などがズレてしまうため、補正をしなければなりません。
さらにブレーキホース、アームの長さが足りなくなったり、プロペシャフトやスタビライザーの角度が変わったりもします。
これらに対しても補正が必要であり、対策パーツも含めるとリフトアップサスペンションキットの価格は20万円以上になることも。さらにインチアップしたタイヤ&ホイールも必要になってくるわけですから、リフトアップは手軽にできるものではありません。
しかし、昨今のジムニー業界であるカスタムメニューがトレンドになりつつあります。
それは1インチアップ。1インチ(=25.4mm)のリフトアップメニューは先代モデルの時代からありましたが、それほど広がりませんでした。
それにはいくつかの要因がありますが、まずリフトアップをするユーザー層がマニアックだったこと。
カスタムをする人は明らかに人とは違うジムニーに乗りたいか、もしくはオフロード走行が主眼でした。そのため、ノーマルと少ししかロードクリアランスが変わらない1インチアップでは、あまりカスタムの意味がないと考える人が多かったのです。
しかし、昨今のユーザーは違うと、関西の老舗ジムニーショップのスタッフはいいます。
「先代モデルと比較すると、現行型の乗るユーザーさんは層がまるでちがっています。
これまでオフロード4WDに乗ったことがない人がほとんどで、オフロードを走るためとか、派手なカスタムするために乗っている人が少なくなりました。
アウトドアというライフスタイルに合わせたクルマ選び、かわいいクルマ選びをしたら、ジムニーに行き着いたというパターンが多いんです。
そんなユーザーさんが求めるのは、大胆に外観を変えることではなく、ジムニーにとってベストなバランスの見た目にしたいということ。それには1インチアップくらいがちょうどいいようです」
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