ホンダ「ヴェゼルEV」はいつ登場? 22年春に中国で新型電動SUV発売! 日本市場のEV戦略はどうなる?
人気軽自動車「N-BOX」もEV化・ハイブリッド化する?
軽EVについては、「N-BOX」のフルモデルチェンジが2023年前後になる可能性がありますが、これまでの各国産自動車メーカーによるEV戦略から考えると、現行N-BOXや現行「N-VAN」をベースとした、市場変化に対する様子見としての軽EVをまず出して、そこから次世代に向けた流れを検討するという予測が成り立ちます。
さらに、日本政府は「2035年までに軽を含む新車100%を電動化(ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車含む)」としているので、2023年以上に登場するNシリーズのパワートレインは、まずはハイブリッドが標準となる可能性が高いと考えられます。
ホンダとしては、日本市場での四輪事業の柱がN-BOXを中心とする軽自動車であり、また軽自動車は庶民の足として広く普及していることで、急激なEVシフトによって日常生活での軽自動車の利便性が大きく変化することは避けたいと考えるでしょう。
そのため、普通車向けの「e:HEV」技術を軽向けに応用した技術で、まずは電動化の基盤作りを優先すると思われます。
一方で普通車については、もしかすると国産メーカーのなかでもっとも早くEVシフトを仕掛けてくるかもしれません。
今回発表された「e:N アーキテクチャー」をフル活用し、またホンダが唱えるエネルギーエコシステムであるeMaaS(イーマース)を具現化することで、普通車EV市場でのリーダーシップを取りにいく可能性があるのではないでしょうか。
そうしないと、2035年でのEV/FCVで新車80%達成というのはかなり難しいと思います。
2024年から2025年頃に、日本におけるホンダ普通車のEVシフトが一気に始まってもおかしくない状況だといえます。
この普通車のEVシフトを、軽のEVシフトが後から追いかけていくという流れが想像できます。
ただし、中国にしろ日本にしろ、また欧州でも北米でも、EVシフトについてはESG(環境・ソーシャル・ガバナンス)投資という観点での政治的な政策主導という側面が現状ではあまりにも大きく、見方を変えると、政治主導によってEVシフトは今後なんらかの理由で大幅に修正されるリスクもあるのではないでしょうか。
そうした不確実な世の中の流れがあっても、ホンダをはじめとした自動車メーカー各社はEVシフトに向けたさまざまな課題を乗り越えていかなければならない状況にあります。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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