トヨタの未来都市「ウーブンシティ」はいつオープンする? 進化する「未完成の街」 22年から建屋づくりに着手へ

ウーブンシティはいつ、どのような形でオープンする?

 気になるのは、ウーブンシティの今後の建設計画です。

 現時点では、いつ、なにが、どのような形で完成し、いつから居住が始まるのかなど、具体的なスケジュールが正式には公表されていません。

 この点について、会見後の記者との質疑応答のなかで、カフナー社長は公の場で初めて完成の目途に対する具体的な時期について触れました。

 それによると、現時点では岩盤の掘削作業など土地造成の基礎工事をおこなっている段階で、2022年から建屋づくりに着手する予定。

 工期のフェイズ1(第一期)は2年から3年後まで進み、2025年あたりでフェイズ1を完了させる見込みだといいます。

ウーブンプラネットホールディングスのジェームス・カフナー社長(写真左)と裾野市の高村謙二市長(裾野市公式YouTube動画 「裾野市『これからのまちづくり』説明会」より)
ウーブンプラネットホールディングスのジェームス・カフナー社長(写真左)と裾野市の高村謙二市長(裾野市公式YouTube動画 「裾野市『これからのまちづくり』説明会」より)

 そもそも、ウーブンシティのコンセプトは、「ヒト中心の街」、「実証実験の街」、そして進化し続ける「未完成の街」という触れ込みですので、工期や完成の時期についてもトライ&エラーの実証実験を踏まえて、変化していく街という考え方です。

 とはいえ、これから3年ほどで基本的な街の姿が現われることになります。

 こうしたハードウエアとしての街の建設を進めるのと同時進行で、「デジタルツインによる街の分析が進んでいる」(カフナー社長)といいます。

 デジタルツインとは、街の全体像や、街に関わるさまざまな要素を3次元をイメージした画像などで再現することです。

 具体的な検討案件としては、ウーブンシティ内での交通の流れ、歩行者の動き、太陽光のあたりかたなど、ウーブンシティのゾーン毎で検証が進められています。

 デジタルツイン解析とハードウエアの建設が融合することで、ある程度の不確実性があったとしても、ウーブンシティは(トヨタが考える)予定通りの日程でオープンできる見込みだといいます。

 また、ウーブンシティ内のエネルギーについては、水素の利活用を進めることも改めて強調しました。

 そのほか、カフナー社長は、裾野市岩波地区住民とのワークショップなどの地域との対話を通じて、改めて各種データのプライバシー保護が重要になると感じたといいます。

 一般的に、ビックデータを活用した未来型都市のスマートシティの場合、公共の土地を使用するケースがほとんどですが、ウーブンシティはトヨタグループ企業による私有地です。

 そうしたなかで、周辺地域の住民との信頼関係を維持するために、各種データの所有権やデータ管理の透明性の確保が重要だということです。

 2024年から2025年のフェイズ1完成に向けて、ウーブンシティのさまざまな側面が着実に見える化されていくようです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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