ホンダが「空飛ぶクルマ」の量産に挑戦! 「ホンダeVTOL」実用化の可能性が「期待大」といえる訳

ホンダは、新しい事業領域に関する発表を2021年9月30日におこない、アバターロボット(分身ロボット)や循環型再生エネルギーシステムとあわせて、いわゆる「空飛ぶクルマ」である「Honda eVTOL(電動垂直離着機)」の実用化を目指すことを明らかにしました。

空飛ぶクルマ「Honda eVTOL」 2023年に試験施行開始へ

 ホンダは新しい事業領域に関する説明会を、ホンダの研究開発拠点である埼玉県和光市内の施設でおこないました。

 今回明らかになったのは、いわゆる「空飛ぶクルマ」である「Honda eVTOL(電動垂直離着機)」、バーチャル空間での作業を可能とする「Honda アバターロボット(分身ロボット)」、そして宇宙空間で燃料電池システムの応用による「循環型再生エネルギーシステム」の3つの新領域です。

「Honda eVTOL(電動垂直離着機)」の模型
「Honda eVTOL(電動垂直離着機)」の模型

 なかでも注目されるのは、2023年にはアメリカでプロトタイプの飛行試験を開始する予定の「eVTOL」でしょう。

 VTOL(垂直離着機)は、ボーイングなど飛行機製造大手のほか、日本を含めた世界各地でベンチャー企業が次々と立ち上がっている将来有望な市場です。

 これまでこうした各企業のプレゼンテーションを聞いていて、筆者が大きな課題だと感じてきたのはパワートレイン(動力方法)に関してです。ほとんどの企業が、モーター駆動による完全電動化を検討しているというのですが、技術的な解決策の具体性に欠ける印象がありました。

 航空機の場合は自動車と違い、航続距離を伸ばそうとしてバッテリーを大型化すると飛行のパフォーマンスに大きな影響を与えます。

 そうしたなか、ホンダが提案するeVTOLでは、ガスタービンを使ったシリーズハイブリッドとすることで、航続距離を確保するという考え方です。

 今回は、eVTOLの小型モデルに加えて、ガスタービンハイブリッドシステムの実機が展示され、また若手技術者を中心とした開発チームによる研究開発の風景も動画等で紹介されるなど、実現に向けて着実に進んでいるという実感を得ることができました。

 展示資料によりますと、機体はタンデムウイング(2枚翼)を採用します。巡航時の消費エネルギーを最小化する高効率化と、プロベラが停止した場合に飛行機のように滑空することで滑走路への緊急着陸の安全性を考慮した結果だといいます。

 また、キャビンを広々として乗員の快適性を確保します。資料には「ホンダ車同等の広いヘッドクリアランス」という表記があります。

 モーターは片翼4個ずつ、両翼で8つありますが、これは垂直方向の力を調整するもの。

 また、機体後部にあるふたつが推進力を生み出します。合計10個のモーターの取付位置は現状では、可変する設計にはなっていません。

 搭載するバッテリーの電池容量について具体的な数値の記載はありませんでしたが、開発担当者は「当然、今後のバッテリーの技術進化にもよりますが、(現在の)自動車向け前後(の容量)というイメージ」と話します。

 飛行性能については、最高巡航距離が時速約250マイル(約400km)、最大巡航速度が150ノット以上(時速270km以上)、巡航高度が6000フィートから1万フィート、そして積載重量が800ポンド以上(400kg以上)といいますから、大型ドローンというより、ホンダがすでに量産しているプライベートジェットに近いイメージがあります。

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