「カローラクロス」に「ワゴンRスマイル」も! 人気車の名前を冠した派生車が登場する理由

新型車の登録台数や届け出台数にも影響あり?

 それからもうひとつ、既存の車名を頭に加える理由として、日本自動車販売協会連合会や全国軽自動車協会連合会が公表する登録台数(軽自動車は届け出台数)のデータを増やせる事情もあります。

 現在の国内販売1位はトヨタ「ヤリス」とされますが、この台数は、コンパクトカーのヤリスとコンパクトSUVの「ヤリスクロス」、スポーツ4WDの「GRヤリス」を合計したシリーズ全体の数字です。

ヤリス(左)とヤリスクロス(右)
ヤリス(左)とヤリスクロス(右)

 2021年8月の場合、ヤリスの登録台数は1万8476台で、2位は1万3229台のホンダ「N-BOX」、3位は1万347台のトヨタ「ルーミー」でした。

 しかしヤリスはハッチバックボディのコンパクトカー、ヤリスクロスはSUVなので、一般的にはまったく違うクルマです。

 ヤリスの登録台数をボディタイプ別に算出すると、2021年8月はヤリスが7680台、ヤリスクロスは1万310台で、残りの約490台がGRヤリスでした。

 そうなるとボディタイプ別の販売ランキングは、1位:N-BOX(1万3229台)、2位:ルーミー(1万347台)、3位:ヤリスクロス(1万310台)、4位:トヨタ「アクア」(9442台)、5位:スズキ「スペーシア」(9300台)、6位:ダイハツ「タント」(8214台)、7位:ヤリス(7680台)です。

 このようにヤリスとヤリスクロスを別々に算出すると、国内新車販売ランキングの順位は3位と7位ですが、合計すれば1位です。

 車名はヤリスとして表記されるので、実際には登録台数の多いヤリスクロスが表に出ませんが、販売1位になると「ヤリス」としてのインパクトは強まります。

 最近になって登場した前述の車種も同様で、カローラクロスの登場により、カローラの登録台数も上乗せされ、ワゴンRスマイルが加わるとワゴンRの届け出台数は増えます。

 このような事情があるため、販売ランキングをチェックするときには少し注意が必要です。

※ ※ ※

 結局のところ、人気車にあやかった派生車が登場する本当の理由は、クルマをたくさん売るためです。

 メーカーは車種の性格に応じて、まったく新しい車名にするのか、既存の車名を付けるのかを判断しているというワケなのです。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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1件のコメント

  1. サニーセダン
    サニークーペ
    サニートラック
    サニーバン

    パブリカセダン
    パブリカバン
    パブリカコンバーチブル
    パブリカピックアップ

    あの頃みたいに前半分はほぼ同じパーツでコスト浮かせて
    後ろ半分を独自にアレンジした多彩なボディタイプ出してほしい

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