ぶっちゃけいま、EVって日本でどうなの? 実際に使ってわかった○と×とは

2021年9月に、ドイツ・ミュンヘンで「IAAモビリティ2021」が開催されました。欧州の自動車メーカーがさまざまな新型EVを世界初公開、その様子はあたかも「EV祭り」。欧州ではEVシフトが加速していますが、日本でのEV普及率はまだ全体の0.7%といいます。現状、日本でEVは「使える」のでしょうか。

高速道路走行では想像以上にバッテリー消費が激しい

 では、満充電にするにはどうすればいいのでしょうか。

 これは単相200Vか、一般的な100Vのコンセントによって供給される普通充電を使います。

 しかし、急速充電に比べて普通充電は充電時の電流が低いこともあり、出先でちょっと立ち寄ったついでに充電しても、ほとんど残量が増えていきません。満充電を狙いたいなら自宅の車庫か、あるいは宿泊した先で一晩かけてじっくり充電しないと、“満タン”にはできないと認識したほうが良さそうです。

急速充電中のプジョー「e208」
急速充電中のプジョー「e208」

 一方でこの満充電は、バッテリーにとって必ずしも好ましくないともいわれます。

 EVに多く使われるリチウムイオン電池は、種類にもよりますが、多くが満充電のまま長時間放置するのは電池劣化の要因ともなるからです。しかも、前述のように80%を超えると充電効率が低くなるため、満充電を繰り返すと充電するための電力を無駄に消費することにもつながります。

 日常的には80%を少し超えるぐらいの残量で使い、遠くまで出かけるときにのみ自宅のコンセントで満充電にするのがバッテリーを長持ちさせる賢い使い方といえるでしょう。

 また、急速充電器は施設によって最大充電量が異なることも知っておきたいポイントです。

 高速道路などでは50kWを多く用意し、最近は日産ディーラーなどで90kWもの高効率充電器を備えてこともあります。

 反対にコンビニなど少し古めの店舗系施設では、30kW程度のものも少なくありません。当然、この出力が大きいほうが効率よく充電できるのですが、たいていは車両側で充電の最大値を50kWに制限している場合もあり、実際はこの出力を活用できていないのが現状です。

 それと、知っておきたいのは高速道路でのEVの走り方です。

 じつはEVで高速走行を連続すると想像以上にバッテリー消費が激しくなります。これは、一般道ではブレーキやアクセルオフ時などに回生ブレーキで充電ができるのですが、高速道路ではアクセルペダルを踏んでいることのほうが多くなり、バッテリーを消費するだけの走行となってしまうからです。

 加えて、アクセルを強めに踏んで負荷をかけるような走りを続けるとバッテリーが発熱しやすくなり、その状態で充電すると思うように充電していかないといった状況にもなります。

 その意味でも、高速道路ではACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などを使いつつ、速度控えめに走ることが電費向上にもつながるし、効率よく充電をすることにつながると認識しておきたいところです。

※ ※ ※

 ここまで、「EVと付き合う上での心得」的なものを採り上げてきました。

 いろいろ内燃機関とは違い、付き合う上でのさまざまな条件があることは否めません。ただ、EVには圧倒的なトルクによる走りの楽しさや、静かで快適な乗り心地が味わえるなど、内燃機関車を上まわるメリットがあることも確かです。

 これまでの経験として個人的に思うことは、長距離移動する機会が多い人は、効率の良いHEVを含むハイブリッドがベストだと感じます。これならば、近所を走るにしてもEVモードで走り切ることができるからです。

 一方でクルマを使うのは近所か県境を越える程度で、遠くに行くのには公共機関を使うというならEVを選択するのがいいでしょう。むしろ、そういった使い方でこそ、EVならではのメリットを知ってもらいたいと思います。

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