フェラーリやランボが生まれた「モーター バレー」とは? 毎年開催されるフェスに潜入調査

マセラティ、フェラーリ、ランボルギーニ、パガーニ、ドゥカティといったブランドが集まるエミリア・ロマーニャ州。このモーター バレー」と呼ばれるエリアで開催された、カーガイ必見のイベントの現地レポートをお届けします。

エミリア・ロマーニャ州の「モーター バレー」とは

Writer:野口祐子(NOGUCHI Yuko)
Photographer:APT Servizi Emilia Romagna

 イタリア半島の北の付け根の部分にあり、アッペンニーニ(アペニン)山脈を抱えつつ、内陸の西から東のアドリア海へと横断しているエミリア・ロマーニャ州。

 この州にはフェラーリ、マセラッティ、パガーニ、ランボルギーニ、ダッラーラなどの自動車メーカー、バイクメーカーのドゥカティ、そしてそれを支える企業、職人、ミュージアム、コレクター、などが集中している。

 世界広しといえど、世界に名だたるスーパーカーメーカーがいくつも存在するエリアはエミリア・ロマーニャ州をおいて他にないだろう。エミリア・ロマーニャ州はそんな自らの州を「モーター バレー(エンジンの谷)」と呼んでいる。

 2021年の開催で第3回目となる「Motor Valley Fest」。名前のとおり、「エンジンの谷」のフェスティバルだ。コロナの感染状況によって開催が日々左右されるなか、プログラムを進めていくことにどれほど困難を強いられたことだろう。そんなわけで開催直前まで、イベントの全体像が見えないままのスタートとなった。

陸軍士官学校の中庭に設置された各メーカーブース(C)APT Servizi Emilia Romagna
陸軍士官学校の中庭に設置された各メーカーブース(C)APT Servizi Emilia Romagna

 連日30度以上の猛暑のなか、モデナの街全体が4日もの間、クルマ・バイクのイベント会場と化し、エミリアロマーニャ州の全面協力のもとMotor Valley Festが繰り広げられた。

●モーターバレーだからこそできたイベント

 初日7月1日、モデナの陸軍士官学校の中庭で開会式・テープカットがおこなわれ、それを合図にイベントがスタートした。

 メイン会場となるのは、陸軍士官学校(Palazzo Ducale・パラッツォ・ドゥカーレ)の建物、そして中庭。この会場内で、連日にわたり自動車産業を軸としたコンベンションがおこなわれ、企業の経営者、政治家、エンジニア、デザイナー、コレクター、ミュージアム、銀行家たちが招待され、それぞれの立場から見た自動車産業への興味深い意見が飛び交った。

 テープカットの直後、Piazza Roma(ピアッツァ・ローマ)ではモデナ出身のシェフ、マッシモ・ボットゥーラとのコラボレーションによって誕生したマセラティ「レヴァンテ トロフェオ フオリセリエ エディション」が発表された。現代アートのコレクターでもあるボットゥーラならではの発想の、まるでキャンバスに絵の具を投げ放したような鮮やかな色のレヴァンテの登場だった。

 そして、モデナ市内にある広場に各メーカーのクルマ・バイク展示がスタートした。

 パラッツォ・ドゥカーレの中庭では「Motor Valley Village」が設置され、各メーカーのクルマたちが並んだ。この他の主な展示ロケーションは次のとおりだ。

・Piazza Grande(ピアッツァ・グランデ):ダッラーラ、ドゥカーティ、パガーニ
・Piazza Roma(ピアッツァ・ローマ):フェラーリ、ランボルギーニ、マセラッティ
・Piazza Matteotti(ピアッツァ・マテオッティ):アルピーヌ、ポルシェ
・Piazza Mazzini(ピアッツァ・マッツィーニ):ステランティス

 また、モデナのいたるところで愛好家クラブのクラシックカー、さらには警察車両や国家警備隊のクルマなどが並べられた。

 これらのクルマを見学する人たちのスタイルも自転車に乗りながら、乳母車を押しながら、散歩がてらにと、さまざまだ。スーパーカーは、彼らの日常生活のなかに自然に溶け込んでいた。これはまさしく、クルマ文化と共に歩んで来た歴史を持つモデナだからこその光景なのではないだろうか。

モデナ市内のNoviSad(ノヴィサッド)でFerrari Challengeがおこなわれた(C)APT Servizi Emilia Romagna
モデナ市内のNoviSad(ノヴィサッド)でFerrari Challengeがおこなわれた(C)APT Servizi Emilia Romagna

 また ドライビングコースも用意され、街中にある小サーキットNoviSad(ノヴィサッド)では各種の走行会、テストドライブがおこなわれた。ここはモデナの中央から歩いても行くことができる場所なので、街を巡りながらの見学コースにもなった。

 その他、Museo Enzo Ferrari(ムゼオ・エンツォ・フェラーリ)Maserati Showroom e Fabbrica(マセラティ ショールーム、工場)、Museo Stanguellini(ムゼオ・スタングエッリーニ)、Museo Panini (ムゼオ・パニーニ)、Museo Ferrari(ムゼオ・フェラーリ)、Mudetec/Museo Lamborghini e Fabbrica(ムデテック/ムゼオ・ランボルギーニ、工場)、Museo Righini(ムゼオ・リギーニ)なども見学コースに組まれていた。

 また、Autodromo Marzaglia(メルザリア・サーキット)、Autodoromo di Varano De’ Melegari(ヴァラーノ・デ・メレガーリ・サーキット)、Autodromo Enzo e Dino Ferrari(エンツォ・ディーノ・フェラーリサーキット)、Misano World Circuit(ミザーノ・ワールド・サーキット)では走行イベントがおこなわれ、各サーキットの企画に応じて各種類のクルマ・バイクが集まり、盛り上がっていたようだ。

【画像】これがモデナの自動車文化だ!(41枚)

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