ベントレーが「バカラル」と「ブロワー」の完成を発表! 限定12台のビスポークプロジェクトシリーズとは?
ベントレーマリナーによる「バカラル」と「ブロワー」の顧客向け車両が完成しました。まったく異なるアプローチから作られた至高のベントレーを紹介します。
完全12台限定のふたつのシリーズ
2021年8月23日ベントレーマリナーは、最高峰のハンドクラフトによるビスポークプロジェクトの新シリーズである2モデル「バカラル」と「ブロワー」の、最初の顧客向け車両を完成させたと発表した。
各車両はそれぞれ12台限定となっている新シリーズの最初の1台で、「バカラル・カーワン」はマリナーの新しいコーチビルドの「バルケッタ」のカスタマーへのデリバリー第1号となるという。
一方、「ブロワー・カーワン」は、ヘンリー・ティム・バーキン卿の1929年製スーパーチャージド4.5リッターをミリ単位の精度で機械的に再現したもので、世界初の戦前のコンティニュエーションシリーズの最初の顧客向け車両だ。
●ベントレーマリナーの最高峰のハンドクラフトとは
最初の顧客向け車両は、ベントレーでは「カーゼロ」と呼ばれるエンジニアリングプロトタイプの後に登場するのが通例となっている。
それぞれが様々な場所で耐久走行距離、性能、耐候テストを完了し、両プロジェクトのエンジニアリング・サインオフが無事に達成され他のち、カスタマーへの製造を開始することができる。
●「ブロワー・カーワン」ってどんなクルマ?
ブロワー・コンティニュエーション・シリーズの1号車は、クラシックなデザインを完璧に再現した輝かしい例である。
ボディは当時も使用されたレクザイン社製の人工皮革のレザークロス生地で縁取られ、ベースとなったオリジナルのブロワー(チームカーNo.2、登録番号UU 5872)の色を再現した特注のバーキングリーンのペイントで仕上げられている。
チームカーNo.2、登録番号UU 5872は、ティム・バーキン卿が製作、所有、レースに参加したクルマで、現在もベントレーモーターズが所有し、毎週走行しているという。
バーキングリーンのボディには、同色のワイヤーホイールが装着されており、インテリアには同色のレザーを使用。折りたたみ式のルーフには、ブラックが採用された。
メカニズム的にはバーキンのオリジナルと同様となるが、安全上重要なふたつの特徴が新たに追加されている。それは、最新の電動燃料ポンプと、燃料タンクへのフォームバッフルだ。
また、オリジナルのダイナモを改良したダイナメーターが追加され、オリジナルのダイナモの外観を維持しながらも、よりパワフルで信頼性の高い充電システムを実現している。
エンジンはW.O.ベントレー自身が設計した4.5リッターの新品で、アルミニウムピストン、オーバーヘッドカムシャフト、シリンダーあたり4バルブ、ツインスパークプラグが備えられている。フロントにはブロワーの名の由来となった象徴的なスーパーチャージャーが取り付けられており、これは著名なエンジニアであるアマースト・ヴィリエが1920年代に製作したものを正確に再現したものだ。
なお、エンジンのサインオフ時に出力を測定したところ、100年近い歴史を持つこの設計で、240bhpを確実に発揮したと説明されている。
●「バカラル・カーワン」ってどんなクルマ?
バカラルのデザインは想像力をかきたてるもので、内外装の素材、色、仕上げのほとんどがビスポークとなっている。
カーボンファイバー製のボディは、カスタマーのビスポークカラーであるシャンパン色を帯びたサテンシルバー「アトム・シルバー」で仕上げられた。
22インチのバカラル・トライフィニッシュ・ホイールには、ポリッシュ仕上げのフェース、ダークグレーのサテン・スポーク、グロス・モスグリーンのアクセント・ハイライトが施されているという。モスグリーンのアクセントは、フロントグリルのセンターバー、ヘッドランプの内側、アッパーボディのクロームサラウンド、リアのグロスブラックの「パワーハンプ」周辺にも施されている。また、Aピラー、グリルのメッシュとサラウンド、ボンネットベント、サイドベント、ロワーボディ、リアバンパーインサート、ブレーキキャリパーにもグロスブラックのコントラストが施されている。リアは、グロスブラックのアウターエキゾーストチップとモスグリーンのインナーで仕上げだ。
バカラル・カーワンのインテリアは、同じブラック&グリーンのトレンドが踏襲された。ベルーガのレザーにモスグリーンのハイドをアクセントとして、バカラル独自のキルティングパターンによるコントラストステッチが、コンソールのウィング、アウター・シートバック、キャビン全体へ施されている。シートセンターには上質なナッパレザーが使用され、カーペットはベルーガのダイヤモンドカービングを施したオーバーマットに、モスグリーンのバインディングとステッチが施されている。
さらにグロスブラックのウッドの上にオープンポアリバーウッドを重ね、ユニークなサテンブロンズのディテールを施したものが、コックピットからドア、そしてフロントシートの後ろへと流れ、5000年前のウッドのサークルを作り出している。
キャビンの特別なディテールは、以下のとおりだ。
・ブロンズ仕上げのステアリングホイールとヘッドレストのベゼル、アッパーベンチレーションのブルズアイベントとアクセントリング
・サテンニッケル仕上げの時計とベントレーローテーションディスプレイダイヤルフェイス
・ブラックアルマイト仕上げのインテリアブライトウェア
・ブライトクローム仕上げのベントレーウィング
・グロスブラック仕上げのスピーカーグリル
・フロントシートの後ろに収まるビスポークのバカラルラゲッジはベルーガのハイドで作られ、モスグリーンのベントレーの刺繍エンブレムとバカラルキルティングパターン、ベルーガのファインナッパレザーのパイピングが施されている。
最後に、バカラル・カーワンのキーは、クルマに合わせてモスグリーンのステッチが施されたベルーガのハイドで縁取られた特注のキーボックスに入れて、カスタマーに渡されることになる。
また、キーそのものも側面はグロス・モスグリーンで、バカラルの特別なローレット仕上げが施されている。
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ベントレーのマリナーとモータースポーツ担当取締役であるポール・ウィリアムは、次のようにコメントしている。
「最初の2台が完成したことで、チーム全体が大きな誇りを感じています。これらのプロジェクトの設計と開発には何年もの時間が費やされてきましたが、それらが完成したのを見て、非常にやりがいを感じました。
これらのクルマは完全にユニークで、完全なビスポークでありながら、他のベントレーと同じ品質基準で作られています。21世紀のコーチビルドされたグランドツーリングバルケッタと、1929年のロードゴーイングレースカーを再現することができるのは、世界でもマリナーだけなのです。
お客様に新車をお届けし、両シリーズの残りのオーダーの製造をすることを楽しみにしています。マリナーコレクションシリーズの主流でありながらも個性的なクルマであると同時に、マリナークラシックとコーチビルドポートフォリオの最初のモデルですが、これからもっと増えていくでしょう。まだ始まったばかりなのです。」
12台限定のふたつのシリーズのすべてのクルマと同様に、この最初の車両は、すべてのディテールがオーナーによって指定されており、完全なビスポークとなっている。
個人的な依頼である性質上、ベントレーはカスタマーの身元やクルマの行き先を明らかにすることはできない。しかし、それぞれのカスタマーは、運転への愛情、クラフツマンシップ、本物志向、細部へのこだわりを共有しており、これらはすべてマリナーに深く関連しているのだ。
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