1億3200万円で落札‼︎ ケーニグセグ「CCX」はこれから投資目的になるか
パガーニとならぶ、成功した新興ハイパーカーブランドといえばケーニグセグです。このスウェーデン発となるケーニグセグにはプレ値がつくのか、最新オークションから調査してみました。
唯一無二の存在だからこそ価値があるハイパーカーの世界
フェラーリやランボルギーニ、あるいはマクラーレンという先例を見て、将来自らの名を掲げたスーパースポーツカー、あるいは現代においてはそれを超越するハイパースポーツカーを生み出すのだという考えを胸中に描いた野心家は多い。
もちろんそのなかで、実際にプロダクションモデルを限定車であっても市場に送り込むことができるのは、ほんのひと握りの存在なのだが、ここ最近のもっとも大きな成功例といえば、イタリアの“パガーニ”や、今回紹介するスウェーデンの“ケーニグセグ”ということになるだろう。
これまで多くのスーパースポーツが誕生した聖地ともいえるイタリアのモデナに本社を構えたパガーニと、スウェーデンで孤高のメーカーとして独自の道を歩んだケーニグセグ。両社のサクセスストーリーは、各々にとても興味深いものであるのは確かだ。
●スウェーデン発のハイパーカーブランド
ケーニグセグの存在が、初めてオフィシャルな舞台で明らかにされたのは1997年、舞台はカンヌ映画祭でのことだった。
ケーニグセグはここで「CC for コンペティションクーペ」とネーミングされた1台のコンセプトカーを披露すると、その買い手が見つかることを確信して、とくにプロモーション活動をおこなうことなくスウェーデンへと帰国している。
創始者であり社長でもあるクリスチャン・フォン・ケーニグセグの読みは見事に当たり、ここからさらに数台の進化型プロトタイプを経て、2002年にはファーストモデルである「CC8S」のセールスに成功。そのスタイルは水中生物からインスピレーションを得たもので、クリーンかつ効率的、そしてエレガントな曲線で構成されたものだった。回転式の特徴的なドアはシンクロへリックスドアを呼ばれ、外側にスライドしながら上方向に回転するという独特なもの。それは現代のケーニグセグ車にまで引き継がれた伝統でもある。
F1マシンとほとんど同様に、カーボンファイバーとアルミハニカムの構造材で、非常に強固なボディを与えられたCC8Sの後継車として誕生したのは「CCR」だ。エアロダイナミクスはさらに改善され、搭載される4.6リッターV型8気筒ツインチャージャー付きエンジンは、驚異的な806psを発揮していた。
そしてさらにここに至るまでに最初のCCから10年を要したことから、「CCX」とネーミングされた正常進化型も登場。こちらはわずかに49台が生産されたのみだが、このCCXの成功によってケーニグセグは世界のいかなる市場にも通用するスーパースポーツを生み出す自動車メーカーと認識されるようになったともいえる。なぜならばCCXは、世界の排出ガス規制や衝突安全基準、さらにはオクタン価91のガソリンでもスペックシートどおりの最高出力を発揮することが可能だったのだ。
●2008 ケーニグセグ「CCX」
RMサザビーズのペブルビーチ・オークションに登場したケーニグセグCCXは、マニュアル6速MTを採用していることがもっとも大きな特徴だ。
インテリアはブラックレザーとアルカンターラのコンビネーションでコンディションも良く、すべてのCCXと同様にボディパネルはもちろん、ホイール、シートフレーム、ダッシュボードインサート、ステアリングホイールなどはすべて軽量なカーボンファイバーで成型されている。
そのほかのオプションにはブラックのブレーキキャリパーを備えたカーボンセラミックブレーキ、リアカメラ、フロントサスペンションのリフティングシステムなどが装備されている。
RMサザビーズが、この2008年式ケーニグセグCCXにオークション前に示したエスティメートは、120万から140万ドル(邦貨換算約1億3080万円から1億5260万円)。
最終的な落札価格は121万5000ドル(同1億3244万円)と、ほぼ予想どおりで落札された。走行距離が納車から1600マイル(約2560km)未満であったことや、直近では2020年7月に定期的なメンテナンスがおこなわれたこと、そして珍しい6速MT仕様であることなど、さまざまな理由が重なり、この落札価格に落ち着いたという印象だ。
ケーニグセグの各モデルは、非常に生産台数が限られていることでも知られている。今回のCCXの落札価格を見る限り、ブランド・バリューはこれからさらにオークション市場でも高まっていきそうな気配濃厚だ。
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