「オペル」が16年ぶりに日本再参入決定! 2022年に復活するドイツブランドの勝算は

最初の導入モデルは「コルサ」「モッカ」「グランドランド」の3車種

 オペルは現在、自動車メーカー「ステランティス」のブランドとなっています。

 オペルとGMとの関係は、はるか90年ほども前の1929年から続きましたが、2017年にオペルはGMとの関係を断ち切り、グループPSAに参加しました。グループPSAとは、プジョーとシトロエン、DSの3ブランドを発売するフランスの自動車メーカーで、ここにオペルが加わることで、欧州におけるシェアはVWグループに次ぐ2位となりました。

1899年にオペルがはじめて製造した自動車、パテントモーターヴァーゲン「システム・ルッツマン」
1899年にオペルがはじめて製造した自動車、パテントモーターヴァーゲン「システム・ルッツマン」

 さらにグループPSAは、2021年1月にFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)と合併、ステランティスとなりました。ステランティスの世界シェアは4位。ステランティスのなかで、オペルは唯一のドイツ・ブランドということで、技術面などで非常に重要なポジションを担います。

 オペルは、グループPSA合流後に経営計画となる「PACE!」を発表しました。

 内容は多岐に渡りますが、注目点は「2020年代の半ばまでに、欧州以外の市場での販売台数を10%にする」とあります。逆にいえば、オペルはほとんど欧州市場だけで戦っていたブランドだったのです。

 この計画に沿ってオペルは、アジア、アフリカ、南米での存在感強化に努めるといいます。さらに2022年までに新たに20の市場への参入が謳われています。その計画があるからこそ、日本への再参入が決まったのでしょう。ちなみに、日本以外にもロシア市場への再参入、コロンビアとエクアドルへの市場参入もおこなうといいます。

 また、経営計画PACE!では、電動化の推進も謳われており、2024年までには完全な電動化をおこないたいといいます。その具体例として挙げられるのが、2019年にフルモデルチェンジした「コルサ」。Bセグメントのコンパクトカーであるコルサには、純粋な電気自動車仕様の「コルサe」が用意されており、グループPSAのなかでも電動化の急先鋒といえる存在です。

※ ※ ※

 日本で最初に導入するモデルはすでに発表されています。Bセグメントハッチバックのコルサとコルサe、BセグメントSUVの「モッカ」、そしてCセグメントSUVの「グランドランド」の3車種です。ちなみにコルサは、以前日本で展開されていた際にはヴィータという車名でしたが、今回は日本でも欧州名と同じコルサの車名で登場する予定です。

コルサにはフルEV「コルサe」も用意される
コルサにはフルEV「コルサe」も用意される

 さらにMPVの「コンボ」やCセグメントハッチバックの「アストラ」など、モデルレンジは随時拡大予定となっています。

 これらはどれも日本車でも人気のジャンルばかり。しかも、どのモデルも欧州での販売価格を見ると、日本車と遜色ないレベル。ドイツのプレミアム・ブランドとは異なる価格帯で、日本に再参入することは間違いありません。

 つまり、再参入するオペルの強みは1990年代の時と同じくコストパフォーマンスです。

 ドイツ車ならではの高速走行性能を備えつつも、他のドイツ車とは違うリーズナブルさがあり、生産コストはステランティス傘下で大幅に圧縮されています。今後は、車種アーキテクチャーを9つからふたつまで減らす計画さえもあるといいます。

 ただし、1990年代から2000年代初頭のオペルは、品質面での不満もありました。それが2006年の撤退の理由のひとつとなっています。

 今度の再参入では、そこをクリアしつつ、しかもリーズナブル。それを実現できれば、オペルの日本での足場も固まるのではないでしょうか。すべては品質にかかっています。

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