新型「ゴルフ」が救世主になるか? VWが輸入車1位を奪還するのに不可欠なこととは

輸入車ブランドでかつて1位だったフォルクスワーゲンは、近年日本での販売が低迷しています。そんななか2021年6月に新型「ゴルフ」を国内導入し販売も好調だといいますが、VWが再び首位を奪還するには何が必要なのでしょうか。

かつて輸入車トップだったVW 現状は?

 以前は輸入車の販売1位といえばVW(フォルクスワーゲン)でしたが、いまは売れ行きが落ち込んでいます。2021年1月から7月は海外ブランドのなかでは、メルセデス・ベンツとBMWに続いてVWは3位でした。

 輸入車販売ランキングを振り返ると、2014年まではVWがほぼ安定して1位だったのですが、2015年から後退。2015年の1位はメルセデス・ベンツでVWは2位となりました。

8代目となるVW新型「ゴルフ」
8代目となるVW新型「ゴルフ」

 2016年および2017年のVWは、メルセデス・ベンツとBMWに抜かれて3位。2018年はBMWを抜き返して2位に戻りましたが2019年は再び3位となり、2020年は2位に戻って、2021年1月から7月は前述の通り3位です。

 このように2015年以降のVWは、輸入車販売の1位をメルセデス・ベンツに奪われており、BMWと2位を争って、時々3位に転落しています。

 VWの販売不振が始まったきっかけは、2015年に北米で発生したディーゼル車問題です。排出ガス規制を不正な方法でクリアしたことが報道され、日本でも2015年10月の登録台数がマイナス48%に達しました。

 この背景には、日本においてVWのブランド構築が成功していたことがあります。

 VWは安全性や燃費が優れ、デザインは控え目に抑えた品行方正なブランドと認識されていたので、排出ガス規制の不正問題は日本のユーザーにショックを与えました。

 信頼性が極めて高いブランドだったからこそユーザーの落胆も大きく、海外での不正だったにもかかわらず日本国内の売れ行きが半減したのです。

 このときにドイツのVW本社では「日本ではディーゼルを売っていないのに、VWの販売が半減する理由が分からない」という意見が聞かれましたが、これには呆れました。

 ドイツのVW関係者は、日本のユーザーと日本でVWを販売している人達について、何も理解していなかったのです。

 仮に日本のユーザーがVWに深い信頼と愛情を持っていなかったら、登録台数が半減することもなかったでしょう。

 このとき以来、日本でのVWの売れ行きは伸び悩み、輸入車販売ランキングも2位・3位に留まっています。

 また北米でディーゼルが問題になった結果、VWのディーゼル車を日本へ導入する時期が遅れたことも、販売面で不利な要素になりました。

 たとえばメルセデス・ベンツは、2010年にはSUVの「Mクラス」にポスト新長期排出ガス規制に適合したディーゼルを搭載しました。BMWなども含めて、2010年代の前半には、排出ガス規制に対応したディーゼルが日本へ輸入されています。

 ディーゼルは実用回転域の駆動力が高く、日本では軽油価格も安いです(正確には軽油に含まれる税額が低い)。

 クリーンエネルギー自動車に分類されたので、購入時に納める環境性能割(旧自動車取得税)と自動車重量税も非課税です。これはボディが重く、価格の高い輸入車にとって、大きなメリットになりました。

 そして2010年以降は、セダンやワゴンよりもボディの重いSUVが人気を高めたので、実用回転域の駆動力が高く、燃料代と税金の安いディーゼルが一層注目されました。輸入車のSUVには、ディーゼル比率が70%に達する車種もあります。

 ところがVWは、もともとディーゼルの導入計画が遅く、不正問題でさらに先送りされました。

 排出ガス規制に対応したディーゼルがVW「ティグアン」や「パサート」に設定されたのは2018年に入ってからとなり、ディーゼルの不正問題と導入遅延が重なってVW全体の販売低迷に結び付きました。

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