いま見ても優れたデザイン! 昭和のラグジュアリークーペ3選
近年、世界的にもラインナップの減少が著しい小型クーペですが、大型のモデルはパーソナルカーとして一定の需要があり、高級車ブランドから数多くラインナップされています。日本でも1970年代から1980年代はラグジュアリーなクーペの需要が高く、ラインナップも豊富でした。そこで、昭和の時代に登場した国産ラグジュアリークーペを、3車種ピックアップして紹介します。
1970年代から1980年代に隆盛を極めた大型クーペを振り返る
2021年7月29日にスバルは新型「BRZ」を正式に発表し、価格や詳細な仕様が明らかになりました。また、トヨタ新型「GR 86」も発表まで秒読み段階です。
両車は世界的にも希少になってしまったコンパクトクーペで、存続したことだけでも高く評価されています。
一方で、大型のクーペは高額なモデルがパーソナルカーとして一定の需要があり、国内外の高級車ブランドを中心にラインナップも豊富です。
日本の自動車市場でも昭和の時代にはクーペのニーズが高く、大型のモデルを各社ラインナップしていました。
そこで、1970年代から1980年代に登場した国産ラグジュアリークーペを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「セドリック 2ドアハードトップ」
かつて、トヨタ「クラウン」の最大のライバルとして存在していたのが日産「セドリック」です。ビジネスカーから高級パーソナルセダンまで、さまざまなラインナップを展開していました。
そして、昭和の時代は1車種で複数のボディタイプを設定するのが通例で、セドリックもセダンだけでなくステーションワゴンやライトバン、そして2ドアクーペも存在。
1971年に発売された3代目では2ドアクーペの「セドリック 2ドアハードトップ」が登場し、次世代の4代目にもラインナップされました。
1975年に登場した4代目セドリックの2ドアハードトップは、フロントフェイスがセダンの4ドアハードトップと同様なデザインでかなり押し出し感を強調しており、高級クーペとして重厚な印象があります。
また、キャビンから後方はクーペ専用のデザインとされ、曲線を多用したプレスラインをアクセントとする造形です。
内装はセダンに準じたデザインで、ゴージャスなだけでなくリアシートのスペースも広くとられ、良好な居住性を実現。
エンジンはスムーズさに定評があった2リッターと2.8リッターの直列6気筒SOHCの「L型」を搭載。当時は3ナンバー車の自動車税が高額だったことから、2リッターが販売上の主力でした。
その後、1979年に5代目が登場した際に2ドアハードトップは廃止となり、日産のラグジュアリークーペは1980年に誕生した「レパード」に引き継がれました。
●トヨタ「ソアラ」
前出のセドリックと同じく、かつてクラウンもセダンと並行して2ドアクーペをラインナップしていました。しかし、1979年に登場した6代目をもって、2ドアクーペを廃止。
そして、トヨタのラグジュアリークーペを継承したのが、後に一大ムーブメントを巻き起こすことになる「ソアラ」でした。
1981年に誕生した初代ソアラは、直列6気筒エンジンを収めるロングノーズのエレガントなフォルムで、それまでの重厚な雰囲気だったクラウン 2ドアハードトップから一変してスポーティなイメージも加えたことで、若いユーザー層からも高く支持されました。
発売当初、トップグレードの「2800GT」には2.8リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、そのほかのグレードも全車直列6気筒エンジンで、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。
また、均整の取れたスタイリッシュなフォルムだけでなく、グラフ表示式のタコーメーターとデジタルスピードメーターを配置した「エレクトロニックディスプレイメーター」や、コンピューター制御によるオートエアコンなど、先進的な装備も惜しみなく投入されています。
1985年のマイナーチェンジでは上位グレードは3リッターエンジンにスイッチ。さらにラグジュアリー志向を高め、後の「ハイソカー」ブームの火付け役となりました。
その後、1986年に2代目が登場するとデザインは初代からのキープコンセプトとしつつも、より洗練され、好景気が始まりつつあった頃で世の中の中流意識の高まりという背景もあり、初代以上のヒットを記録。
ソアラはラグジュアリークーペ市場をけん引する存在となりました。
●マツダ「コスモ」
1967年に世界初の量産ロータリーエンジン搭載車である、マツダ「コスモスポーツ」が誕生。未来的なデザインの2シータースポーツカーで、高性能なエンジンにふさわしい外観となっていました。
その後、コスモスポーツは改良を重ねて1972年に生産を終了しましたが、一方でマツダはロータリーエンジ車の拡充を開始。
さまざまなセグメントのモデルにロータリーエンジンを搭載するフルラインナップ化を進めるなか、1975年にコスモスポーツの名を受け継いで登場したのが「コスモAP」です。
コスモスポーツのピュアスポーツカーのイメージから一転して、コスモAPはラグジュアリークーペへと変貌を遂げました。
フロントフェイスは丸目4灯のヘッドライトに縦ラインのラジエーターグリルを組み合わせ、重厚感を演出。全体のフォルムは流麗なファストバックで、一般的な2ドアクーペの「コスモL」も追加されました。
エンジンはトップグレードに654cc×2の2ローターロータリー「13B型」を搭載し、ほかにも573cc×2のロータリー「12A型」、レシプロエンジンの2リッターと1.8リッター直列4気筒を設定。
ちなみに車名の「AP」とは昭和51年排出ガス規制をクリアした「アンチ・ポリューション=AP=公害対策」に由来しています。
その後コスモAPは、1981年に角目4灯のリトラクタブルヘッドライトを採用したユニークな3代目へとモデルチェンジし、1990年には世界初の3ローター・ロータリーエンジンを搭載した伝説的なモデル、ユーノス「コスモ」へと進化していきました。
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今回、紹介した3台は当時としては大型のモデルでしたが、実際は5ナンバーサイズに収まるようにボディは基本的に全幅1700mm未満となっていました。
1989年の税改正以前は、3ナンバー車の自動車税は排気量3リッター以下でも年額8万1500円と非常に高額で、かなりの贅沢品でした。
そのため、各モデルとも主力は排気量2リッター以下のモデルであり、3ナンバー車を買える人はかなりの少数派だったといえます。
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