トヨタ最高級セダン「センチュリー」なぜ人気? 究極の日本車カスタムがアメリカで注目される訳
トヨタの最高級乗用車「センチュリー」。日本以外では販売されていないモデルですが、アメリカでの人気が高まっているといいます。どのような背景があるのでしょうか。
センチュリーはなぜ究極のJDMと呼ばれるのか?
トヨタ「センチュリー」の開発が始まったのは1960年代前半。世界の豪華高級車と並ぶプレステージサルーンを目標にして開発されました。
世界の高級車に匹敵する、といっても海外で販売される目的はなく、あくまでも日本のVIPを対象にした最上級セダンです。
日本独自の様式美に基づいて開発されており、皇室専用の「センチュリー・ロイヤル」という特別なモデルを含めて、内閣総理大臣専用車や官公庁や企業のトップが使う最高品質の車両として50年以上にわたって多くのVIPに愛されてきました。
実は「センチュリー」という車名にもそのこだわりが見えます。センチュリーの言葉の意味は「世紀」ではありますが、「21世紀まで続く高級車を目指した」といった意味ではなく、トヨタの創始者であり1867年生まれの豊田佐吉の生誕100周年(1967年)を記念して名付けられた車名なのです。
結果的に20世紀から21世紀まで世紀をまたぐ偉大なクルマになりましたが、車名の由来はドメスティックでした。
なお、センチュリーが海外市場で量販されたことはありませんが左ハンドルのセンチュリーは海外の日本大使館などに向けて少量台数作られたことはあります。
そのセンチュリーが近年、海外とくにアメリカでジワジワと人気が出始めています。
日本以外では販売されていないセンチュリーがなぜ、海外で人気となっているのでしょうか。
その理由は「25年ルール」と空前の日本車旧車ブームにありました。
25年ルールとは、「製造から25年経過したら右ハンドル車でもアメリカでの販売や登録が可能になる」という制度です。同様のルールでは、カナダで15年ルールが存在します。
日本車に限ったことではなく、全世界の車両が対象となり、右ハンドルであることはもちろん、アメリカNHTSA(National Highway Traffic Safety Administration米国運輸省道路交通安全局)が定めたFMVSSという「車両保安基準」の対象から外れるため、シートベルトやエアバッグがついていない車両も登録が可能になります。(排出ガス基準EPAは製造から21年で対象外となります)
なお、アメリカで合法的に輸入ができるのは1996年製までのセンチュリーとなるので、2021年現在は初代センチュリー(1967年-1997年)のみが合法となります。
日本の旧車に関する情報を発信している「japanesenostalgiccar.com」を運営するベン・シュー氏は以下のように話します。
「アメリカでは販売されたことがないトヨタ・センチュリーですが、トヨタ製高級車の頂点と称されるクルマとあって愛好家もいます。
私が初めてアメリカでセンチュリーを見たのは15年前のトヨタフェスト(トヨタ車のオーナーミーティング)で初代センチュリーが参加していました。
『ランドクルーザー』や『スープラ』、『カローラ』などに比べるとまだまだ少ないですが最近は少しずつ増えています。
日本製の高級車といえば日産『プレジデント』や三菱『デボネア』もありますが、日産や三菱のマニアは、『スカイラインGT-R』や『フェアレディZ』、『ランサーエボリューション』などのスポーティなクルマを好むようです。
アメリカでセンチュリーを維持するのは大変ですが、オーナーはとても機知に富んでいます。
15年前のトヨタフェストで見た初代センチュリーを所有していた友人は、フロントガラスにヒビが入ってしまいました。
代替品が見つからず苦労して探した結果、ランドローバーのフロントガラスが同じ形であることを発見しました。
少し幅が広いのでガラス屋さんにランドローバーのフロントガラスを切ってもらって取り付けました。
カットした部分にタテの線が入っていましたが何とか使用することができたそうです」
センチュリーとランドローバーの意外な共通点が見つかるのもアメリカならではなのかもしれません。
実はV12以前のV8は個人で所有している方が多かったですね。
何より運転しやすいです。
OHVのV8とかセンチュリーにはすっぽり収まるユニットでしたし