「けん引フック」いつ使うの? 走行時に飛び出してるのアリ? 正しい使用方法とは

ほとんどのクルマにはけん引フックが搭載されていますが、実際にはどのように使用するのでしょうか。また、本来の目的以外に使用するのは問題ないのでしょうか。

本来の用途と異なる、さまざまな使い方をされているけん引フック

 クルマをけん引するのに用いられる「けん引フック」ですが、SNSではこのけん引フックを使っていろいろなものを装着したり、ぶら下げたりしているのが見受けられます。けん引フックを本来の目的以外で用いることに、問題はないのでしょうか。

カスタマイズ要素もある「けん引フック」だが、使い方は覚えておくと損はない!
カスタマイズ要素もある「けん引フック」だが、使い方は覚えておくと損はない!

 けん引フックは、基本的にほとんどのクルマに標準装備されていますが、バンパーの内部に隠れて見えない位置にあるため、自身のクルマに装備されていることを知らない人もいるかもしれません。

 使い方としては、フロントもしくはリアのバンパーに設けられた小さなカバーを開けて、車載されているフックをねじ込んで使用します。

 けん引に関するルールとしては、けん引する車両とされる車両の間には安全な間隔(5m以内)を保ちながら丈夫なロープなどで確実に繋ぎ、ロープに白い布(0.3m平方以上)を付けなければいけないと決まっています。

 なお、けん引する車両の総重量が750kg以下または故障車をけん引する場合にはけん引免許は必要ありません。
 
 このように、日常ではあまり使用する機会のないけん引フックですが、サーキット走行を頻繁におこなうような人では、レース用のけん引フックを別途購入し、装備することもあります。

 SNSでは、けん引フックに何かしらをぶら下げている人やドレスアップ用を装着している様子がうかがえます。

 では、けん引以外の用途で使用することは問題ないのでしょうか。国土交通省の担当者は、次のように説明しています。

「あくまで保安基準では、クルマで飛び出すような鋭いパーツをつけることは禁止されています。

 そういった場合を除いては、保安基準をクリアしているものであれば、それぞれのクルマによっての判断になります」

 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の第178条第2項では、「車体の外形や形状に関し、鋭い突起を有し、回転部分が突出する等の交通の安全を妨げるおそれのあるものでないこととする」と定められています。

 突起物の具体的な数値については、道路運送車両の保安基準の細目を定める告知の3.一般規定の3.4.にて、「外部表面には、曲率半径が2.5mm未満である突起物を有してはならない。ただし、突出量が5mm未満である突起にあっては、突起の外向きの端部に丸みが付けられているものであれば良いものとし、突出量が1.5mm未満にあってはこの限りではない」という規定があります。

 一方で、車検の場合ではどうでしょうか。ある整備工場のスタッフは以下のように話します。

「けん引フックは本来、故障や事故などの際にクルマを牽引するための部品で、いわば非常時に備えておくためのものです。

 一方、道路運送車両の保安基準では、鋭い突起となるパーツを取り付けてはならないとされています。

 けん引フックそのものは突起物の対象外ですが、レース用のけん引フックを装着したままだったり、カメラ用のアームなどを取り付けたりしていると車検に通らない場合もあるので、あらかじめ外しておいた方が良いと思います。

 フィギュアやつり革などは、法律上は明確な定義がありませんが、検査員の心証を考えれば外しておいたほうが無難でしょう。

 けん引フックの位置や使い方、使用条件についてはクルマの取扱説明書に必ず記載されているので、いざというときに慌てないためにもあらかじめ目を通しておくことをおすすめします」

※ ※ ※

 ドレスアップや個性を出すために、本来の用途以外でけん引フックを使用する人もいますが、万が一にそれらが落下し後続車や人、自転車に当たった場合には、トラブルの元となります。

 そのため、基本的にはけん引時以外のけん引フックの使用は控えておいたほうがいいかもしれません。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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