【R129型】メルセデス「SL」のちょうどよい古さが掻き立てる濃厚な“シブさ”【中古車至難】

良品だけが生き残った中古市場

 しかし2001年のフルモデルチェンジで5代目の「R230型」に席を譲り、主戦場を中古車市場へと移していったR129型SLはその数年後から、いささか筋のよろしくないオーナーたちに愛されてしまった観がある。

 彼ら・彼女らはR129という世界最高峰のロードスターに、正直申し上げて下品な改造などを適用。その結果としてR129型SLは「荒れて」しまったのだ。

 だがその後、そういった個体は時の経過とともに淘汰され、その一部は土に還っている。

 そして時の洗礼をくぐり抜けた一部の優良個体は今、当時の純正状態をほぼ保ったまま、おおむね300万から450万円あたりの価格帯、あるいは700万円オーバーのコレクターズアイテム的プライスゾーンで、丁寧に販売されている。

しっかりメンテナンスされている車両は故障率も意外と少ない。強いていえば前期モデルのエンジン部品(ガスケットなど)に気をつけたい。またR129型は全体の半数以上の物件が、オプションの脱着式ハードトップを搭載している(C)Daimler AG
しっかりメンテナンスされている車両は故障率も意外と少ない。強いていえば前期モデルのエンジン部品(ガスケットなど)に気をつけたい。またR129型は全体の半数以上の物件が、オプションの脱着式ハードトップを搭載している(C)Daimler AG

●いまR129に乗ると相当シブい!

 高度な電子デバイスが多数組み込まれた、半自動運転ともいえる最新世代のスポーツコンバーチブルを、休日の相棒あるいは通勤のお供にするのも素敵だろう。

 しかし、アナログとデジタルのちょうど端境期だったメルセデス・ベンツが“世界最高峰”を目指して作り上げ、そして実際、当時の世界最高峰を実現させた「操縦と所有に“質感”が伴っているロードスター」に乗るほうが、いわゆる趣味としては、より高尚なのではないかとも思う。

 より端的にいうなら「シブい」ということだ。

 ありがちな何かではなく「シブさ」を求める各位に今、ぜひ一度はチェックしていただきたいと思うロードスター。それが、R129型メルセデス・ベンツSLクラスなのだ。……今フルノーマルのR129に乗ると、かなりシブいと思いますよ!

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