フェラーリが馬の数で記録更新! 「グッドウッドFoS 2021」の主役は跳ね馬だった!

一度は訪れたい「スーパーカーパドック」とは

 新旧を問わず、あらゆる自動車の祭典である「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」では、広大なイベントスペースに数多くのステージが用意されるが、なかでもモダンスーパーカー・ファンの人気を集めているのが、ヒルクライムに臨む最新のプレミアムカーやスーパーカーたちが集められる「ミシュラン・スーパーカーパドック」である。

大勢のギャラリーのなかを走る「250GTO」
大勢のギャラリーのなかを走る「250GTO」

●「動くモーターショー」が見所

 前ページにてご紹介したように、今年のフェラーリS.p.A.はこのパドックを舞台に、最新スーパーカーの英国プレミア発表展示をおこない、2年ぶりとなるグッドウッドの成功に花を添えることになった。

 グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードは、例年7月第一週の木曜日から日曜日まで、4日間にわたって開かれる。その期日のうち、特に木曜日は世界各国のプレミアムカー/スーパーカー・ブランドから送り出された最新モデルたちが、「ミシュラン・スーパーカーパドック」からグッドウッドの華ともいうべきヒルクライムに続々と繰り出し、あたかも「動くショールーム」、もしくは「動くモーターショー」の様相を呈する。

 一部のステージをのぞいては、エスケープゾーンなど皆無に等しいヒルクライムコースゆえに、絶対的なスピードがもたらす迫力ではサーキットには及ばない。しかし、場所によっては目の前数メートルを疾走する姿が、視覚と聴覚、時には嗅覚でも楽しめる。

 また、ゴール先のクルマだまりで折り返し、スタートに戻るコース設定なので、ひとたび出走したクルマは、クラッシュやトラブルがなければ必ず往路と復路で見ることができる。
往路では「タイムド・シュートアウト」出走者をはじめとして、大方のドライバーが本気の走りに集中するものの、リエゾン区間である復路では、タイヤスモークをもうもうと上げるバーンナウトや、特にグランドスタンド前のコース幅が広くなったところでは、ドーナツターンをおこなうサービス精神に富んだドライバーも見受けられる。

 さらにヒルクライム以外にも、小高い丘を登った先の森に特設されたダート(一部舗装)コースを走る「フォレスト・ラリー」では、各自動車メーカーやパーツサプライヤー、スペシャルショップにチューナーなどが、自社の歴史と未来を提示するために展開するモーターショー並みの大規模ブースが並ぶ。さらに「カルティエ」との共催でおこなわれるコンクール・デレガンス形式のショーなど、4日間の期日では足りないほど見るべきものがたくさんあるのだ。

* * *

 筆者はこれまで約四半世紀にわたって、欧米各国でおこなわれるクラシックカーイベントを訪ねる機会に恵まれてきた。しかし「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」のごとくエクストリームなイベントは、ほかでは決して見ることはできないと断じても良い。

 このイベントの成功を決定的なものとしたのは、単なるクラシックカーフェスティバルに留まることなく、誰もが興奮と感動を覚えるような「ショー」としての要素を盛り込んだことにあると感じられる。

 グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで見られるのは、まさに白日夢のごとくゴージャスな「自動車絵巻」。そしてフェラーリは、間違いなく今年の主役の一端を担ったと思うのである。

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