クルマの火事は1日10件ペースで発生!? 車両火災の原因は? 未然に防ぐ対策とは
2000年ごろをピークに減少傾向にあるものの、いまだに年間3500件程度の車両火災が発生しています。車両火災の原因はどういったことなのでしょうか。また、どうすれば防げるのでしょうか。
日本国内の火事の1割を占める車両火災
テレビなどのニュースでたびたび報じられる車両火災。車両火災はほとんど毎日発生しており、じつは意外と身近に潜む危険だったりします。
2020年の「消防白書」によると、2019年の車両火災は3585件にのぼり、平均すると1日あたり約10件。同年の日本国内における火災の総数は3万7683件なので、車両火災は全体の1割近くも占めているのです。
では、車両火災の原因はいったい何なのでしょうか。
火元の内訳でもっとも多いのは、「排気管関係」(17.1%/614件)です。排気管関係はクルマの構造のなかでも特に高温になる部分で、エンジン直後のエキゾーストマニホールドにいたっては500度を超えるといわれています
とはいえ、排気管関係の部品そのものが燃えてしまうことはあまりありません。排気管まわりの超高温な部品に、漏れた燃料(ガソリンや軽油)やオイルがかかる、あるいは整備のときに置き忘れたウエスなどの可燃物が発火して火災につながるというケースが多いようです。
次いで多いのが、「機関内配線」(9.2%/329件)です。クルマのエンジンの点火系では高電圧の電気が流れていますが、火災の原因としては点火系よりバッテリーのメンテナンスミスやワイヤーハーネス(ケーブル)の劣化が考えられます
また、機関に関係のない「電装品」(6.6%/236件)も出火元のひとつです。ハイワッテージのヘッドライトやカーステレオの配線トラブルなど、機関内配線とは別にも火災がおきています。
「放火」もまた(7.4%/267件)と火災の原因のひとつです。筆者(金田ケイスケ)の知人も車両放火の被害に遭っていて、ひとりは自宅の駐車場に停めてあった国産スポーツカーを盗まれ、乗り捨てる際に証拠隠滅のために放火されたり、もうひとりはイタリア製の4WDスポーツカーで外出先の駐車場で付け火されたといいます。
放火は防ぎようがない場合がほとんどで、愛車を燃やされた被害者のやるせない気持ちは察するに余りあります。
さらに、使用者に責任がない車両火災といえば、クルマ自体の設計や製造の問題というのもあります。
たとえば2021年5月にリコールとなった日産「ルークス」と三菱「eKスペース」は、リチウムイオンバッテリーのアースボルトの車体への取り付けが不適切で、アース不良となる車両が一部あり、実際に車両火災が3件おきています。
リコールになっているにも関わらずいつまでも改善措置を受けないのは問題外ですが、リコールが発表される前のトラブルは使用者としては避けようがありません。少しでも異変を感じたら遠慮なくディーラーに相談したほうがよいでしょう。
また、喫煙率の低下とともに年々減ってはいますが、「たばこ」からの出火も(4.7%/169件)火災の原因となりますが、車両火災の半数以上(55.0%/1970件)は「その他(不明・調査中含む)」とされています。
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思った以上に車両火災が発生することが多いようですが、それでも2016年は4053件、2017年は3863件、2018年は3660件、2019年は3585件と、少しずつですが減少傾向にあります。
車両火災発は2000年の約9000件ごろをピークに減少に転じていますが、これは1993年に運輸省自動車局長通達で「内装の難燃規制」が事実上開始され、翌1994年に製造物責任法(PL法)が制定されたことが理由とされています。
実際に車両火災が減るのに7年かかっているのは、街中を走るクルマにおける規制適合車の割合が増えるのにそれだけの期間を要したということでしょう。
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