「飲んだら乗るな!」 なぜお酒を飲んで運転はダメ? 身体にどのような変化が起きるのか
法律の厳罰化やクルマの安全技術が進化しても、人の意思による「飲酒運転」を要因とする事故は一定数存在します。では、なぜお酒を飲んで運転してはいけないのでしょうか。実際に身体に起こる変化とはどのようなものなのでしょうか。
お酒を飲んでクルマを運転すると体にどんな変化が起きる?
「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」というキャッチフレーズがありますが、お酒を飲んでクルマなどを運転することは禁止されています。
では、お酒を飲んで運転した場合、身体にはどのような変化が起こるのでしょうか。

飲酒運転は死亡事故を引き起こす要因ともなり、道路交通法では厳しい罰則が設けられています。
道路交通法65条第1項では「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」という規定されており、お酒を飲んだ後にクルマを運転することは絶対に避けなければなりません。
一方で、飲酒運転による事故件数は未だに毎年件数があがってきています。
警察庁が発表している「飲酒運転による死亡事故の件数」の資料では、2000年の1276件をピークに、2002年には1000件、2003年には781件と3桁に到達し、数値は減少傾向にあります。
しかし、2009年の292件と、300件を割り込んでからは減少ペースが緩やかになり、2020年には159件まで減少してはいますが、下げ止まり傾向が続いています。
死亡事故率比較(2020年)を見ても、飲酒運転の死亡事故率は飲酒なしの事故に比べて約8.1倍と極めて高くなっており、飲酒運転による事故は死亡事故につながる可能性が高いということが考えられます。
では、そもそもなぜお酒を飲んだらクルマを運転してはいけないのでしょうか。
警察庁の飲酒運転の危険性を呼びかけた特設サイトでは、お酒を飲むことでアルコールが脳の働きを麻痺させる作用があるといいます。お酒に酔うということは血中のアルコール濃度が高くなることで、脳の中の理性や判断をつかさどる大脳皮質の活動をコントロールしている大脳下部の「網様体」が麻痺すると提示しています。
そのため、飲酒時には安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが低下している状態になり、実際には「速度超過などの危険な運転につながる」、「危険察知が遅れたり、反応が鈍くなる」といった危険な運転になる可能性があります。
実際に、交通事故総合分析センターがおこなった「アルコールが運転に与える影響の調査研究の概要」によれば、呼気濃度が0.1ml程度の飲酒をした場合では、視覚刺激に対する反応時間や先行車が減速した場合の反応遅れ時間等が長くなるなど、認知・判断系の作業についてアルコールの影響があると見られています。
このように、お酒を飲むことで安全運転ができる状態が保つ状態は難しいといえるため、飲酒運転をおこなうことは非常に危険ということが分かります。
神奈川県警の交通課担当者は、飲酒運転について以下のように話します。
「飲酒運転は法律で禁止されています。なかなか飲酒運転はなくならないですが、飲酒をしたら絶対に運転はやめましょう。死亡事故などで自分の人生を駄目にするだけでなく、他人の人生を奪うことになりかねません」
お酒の強さには個人差があり、飲酒による影響が多少異なる場合もあります。では、お酒に強い弱いという個人の体質では、どの程度影響に差があるのでしょうか。
科学警察研究所交通安全研究室がおこなった「低濃度のアルコールが運転操作等に与える影響に関する調査研究」では、「酒が強い」と思っている人と「酒が弱い」と思っている人計43人を対象に飲酒時の判断状況の調査を実施。
これによると、500ccのワインを飲んだ状態では、まったく飲んでいない状態に比べて、酒が強いと思っている人の反応時間は0.06秒遅れ、酒に弱いと思っている人も0.05秒遅れるなど、両者にほとんど差はありませんでした。
この実験結果からも、人によって強い弱いといった体質の違いがあるものの、飲酒をすることで誰しもに影響があるということが分かりました。
そのため、「お酒が強いから大丈夫」「体質的に安全に運転できる」といったような、自身を過信したような考えで安易に飲酒運転を行うことは非常に危険な行為となります。
飲酒をした場合は、例え酔いがあまり回っていないと自身で思っていても、クルマの運転は絶対に控えましょう。














