内外装にこだわりが詰まっている? 高級車を目指したコンパクトな車5選

高級車に抱くイメージは、重厚な見た目の大きなボディに大排気量・大出力のエンジンを搭載し、スムーズな加速と高い静粛性を誇り、上質な乗り心地と充実した快適装備、そして高価な素材をふんだんに使って車両価格も高額といったところではないでしょうか。しかし、小さなボディで高級車並のこだわりが感じられるモデルも存在。そこで、高級車を目指したコンパクトなクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

高級車を目指した小さなクルマを振り返る

 近年、SUV人気を反映して各メーカーからさまざまなセグメントのSUVが登場し、なかには高額かつ高級なモデルも存在します。

 しかし、高級車としてイメージするのは今もセダンであり、その頂点に君臨するのは運転手がドライブするショーファードリブンのモデルではないでしょうか。

高級車を目指していたコンパクトサイズのクルマたち
高級車を目指していたコンパクトサイズのクルマたち

 高級車というと、重厚な見た目と大型のボディに大排気量のエンジンを搭載。加速は極めてスムーズで高い静粛性と良好な乗り心地、そして充実した装備と本革や本木目を用いたゴージャスな内装というのが一般的ではないでしょうか。

 さらに、車両価格も高額でなければいけません。しかし、小型のボディで価格もそれほど高価ではなくても、高級車を目指したようなモデルも存在。

 そこで、高級車並のこだわりをもってつくられたコンパクトなモデルを、5車種ピックアップして紹介します。

●日産「ローレルスピリット」

まさに「ミニローレル」といった内外装の2代目「ローレルスピリット」

 かつて、日産の小型車の主力車種だった「サニー」は、1981年に登場した5代目からFF化されました。さらに、5代目サニーをベースとしてモデルが次々と誕生。

 そのなかの1台が、1982年に発売されたコンパクトセダンの「ローレルスピリット」です。

 ローレルスピリットはその名のとおりミドルクラスセダンの「ローレル」をインスパイアしたモデルで、内外装はローレルをモチーフにして装備も充実。

 しかし、どことなくサニーのイメージが色濃く、少なくとも内外装に高級感があったとはいえませんでした。

 そこで、1986年に6代目サニーをベースとした2代目ローレルスピリットがデビューし、内外装のイメージを一新。

 直線基調のフォルムと長方形のメッキグリルに横長のヘッドライトを配置したフロントフェイスは、まさに5代目ローレル後期型を彷彿とさせました。

 内装もすべてをワインレッドに統一したカラーをメインとし、ドアの内張りやシートにはビロードのような肌触りの生地を使うなど、高級感を演出。

 エンジンは1.5リッターSOHCと1.6リッターDOHC、1.7リッターディーゼルを設定していたのはサニーと同じですが、サニーにはあった1.3リッターは省略して差別化されました。

 ローレルスピリットは1990年に生産を終えましたが、同様なコンセプトで同じくサニーベースだった「ラングレー」があり、こちらは小さなスカイラインをイメージしていました。

●ホンダ「コンチェルト」

レジェンド並の装備に英国調の内外装に仕立てられていた「コンチェルト」

 1980年代に、ホンダと英国のローバーグループは業務提携をおこない、日本と欧州で販売するそれぞれのモデルの、共同開発をおこなっていました。

 そのなかの1台が、1988年に発売されたホンダ「コンチェルト」で、日欧で販売されました。

 シャシや主要なコンポーネンツは4代目「シビック」がベースで、ボディは4ドアセダンと5ドアハッチバックをラインナップ。

 外観は6ライトウインドウが特徴的なヨーロピアンスタイルで、小さな「レジェンド」をイメージさせるフロントフェイスを採用しています。

 エンジンは、1.5リッターSOHCと、ツインキャブとPGM-FIの2種類の1.6リッターSOHCを設定。トランスミッションは5速MTと4速ATが全グレードで選べました。

 また、高剛性モノコックボディや、外装のフラッシュサーフェス化により、走行時におけるロードノイズや風切り音が抑えられており、快適な乗り心地を実現。

 内装では本革シートが設定され、上級グレードには同クラス初のパワーシートを装備し、フルオートエアコンも設定されるなど、まさにレジェンド並の装備でした。

 コンチェルトはヨーロッパの伝統とホンダの技術を融合したプレミアムコンパクトカーの先駆け的存在でしたが、販売的には成功したとはいえず、1992年に後継車の「ドマーニ」が登場したことで消滅してしまい、ローバーとの提携も解消されました。

●マツダ「ベリーサ」

上質な走りと静粛性や装備にもこだわっていた「ベリーサ」

 2021年6月24日に、マツダはコンパクトカー「マツダ2」の改良モデルを発売しました。このマツダ2は前身である4代目「デミオ」の質感の高さを継承していますが、それ以前にもプレミアムコンパクトカーとして開発されたモデルが存在。

 それが、2004年に発売されたマツダ「ベリーサ」です。

 ベリーサは2代目デミオをベースにシンプルながらも上質を目指しており、外観はデミオのようなポップな印象ではなく、フロントフェイスもリアビューもシックなデザインを採用しています。

 搭載されたエンジンは1.5リッター直列4気筒で4速ATの組み合わせのみ。駆動方式はFFと後輪をモーターで駆動する「e-4WD」がラインナップされました。

 また、先進の解析技術を駆使することによって、クラストップレベルの静粛性を実現し、高速走行時でも音楽や会話が楽しめる室内空間を目指していました。

 装備も「アドバンストキーレスエントリー&スタートシステム」を全車に標準装備し、メーカーオプションでは約3000曲を収録できる「ミュージックHDD」を用意。

 加えて本革シートを標準装備するグレードや、イモビライザー、オートライト、レインセンサーワイパーを組み合わせたパッケージが追加されるなど装備の充実が図られました。

 さらに、モデルライフ中には特別仕様車が何度か登場していますが、なかでも最後に登場した特別仕様車「ノーブル・クチュール」ではワインレッドの本革シートや、グローブボックスやドアの内張りもワインレッドでコーディネートされるなど、クラスを超えた上質な内装に仕立てられました。

 ベリーサは大ヒットこそしなかったものの、女性ユーザーを中心に一定の人気があり、11年ものロングセラーとして2015年生産を終了。そのコンセプトはマツダ2に生かされています。

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