クラシック・アルファ ロメオを支える謎の団体「スクーデリア デル ポルテッロ」の本拠地に潜入取材敢行!

ついに、アルファ ロメオのヒストリックレースを支える本拠地へ潜入!

 今回、スクーデリア デル ポルテッロの本拠地を訪れる機会を得た。外観はどこにでもある倉庫。しかし、その中に入ると想像を遥かに越える世界が待っていた。

「Tipo33/2 フレロン」を前にニッコリ微笑むアンドレア
「Tipo33/2 フレロン」を前にニッコリ微笑むアンドレア

●ガレージに並ぶアルファ ロメオの名車たち

 まずは、入り口にぴったりと置かれた巨大で真っ赤なトランスポーター3台が出迎えてくれた。このトランスポーターにクルマを積み、世界中のサーキットに向け旅立っていくのだ。この中は未知へのロマンがたくさん詰まっている空間だ。

 そしてその奥には修理工場がある。クラシックコンペティションカーには欠かせない場所だ。レストア中の古いアルファ ロメオだけでなく、何種類もの工具や部品が、この空間を味のあるものにしている。ここで、スクーデリア デル ポルテッロの守神でもあるアルベルトが作業をしていた。彼は30年以上、スクーデリア デル ポルテッロと共に世界中を回っている人物だ。今や彼の存在はこの修理工場の一部になっているほど、なくてはならない存在だ。

 2階に上がると、ポスターやトロフィーや本に囲まれたミーティングルームがあり、その奥に、夢の空間、スクーデリア デル ポルテッロ所有のアルファ ロメオがところ狭しと並んでいる。

 モータースポーツのDNAを継承したアルファ ロメオ最初の量産モデル、1900が幾台も目に入ってくる。そして1954年のカレラ・パナメリカーナ・メヒコに出走した「ベルリーナ」、「クーペスーパースプリント」などなど。さらに量産モデル第2弾の「ジュリエッタ・スプリント」、「ベルリーナ」、「スパイダー」も。

「GTA」、「GTAm」、「GT」、「GTV」などのジュリアクーペシリーズ、「スプリント・スペチアーレ」などのGTツーリングカー、「75」、「155」、「156」、「145」、「146」、「147」などの現代のツーリズモとスーパーツーリズモ。そして圧巻はアルファ ロメオF1だ。1961年の「デトマソ・アルファ ロメオコンレロ」、1982、1983年の「182T」と「183T」。1984年のユーロレーシング。フォーミュラーボクサーとF3、とレーシングアルファが勢揃いしている。

 ここはキラキラ光るクルマが並んでいるだけではない。過去、現代にわたり戦っているクルマたちそれぞれが、嬉しい、悔しい、苦しい……、といったたくさんのストーリーを背負っているのだ。この中に入るとそれぞれのクルマが、堰を切って自分達の経験を語りかける声が聞こえてきそうだ。

“Scuderia del Portello Museo Dinamico / Alfa Romeo storiche da competizione”は、「ここを起点とし舞台はサーキットへと移っていく」という意味だ。

スクーデリア デル ポルテッロの会長、マルコ・カイアーニ氏と筆者
スクーデリア デル ポルテッロの会長、マルコ・カイアーニ氏と筆者

●アルファ ロメオは、走らせてこそ価値がある

 2階のミーティングルームで会長のマルコ・カイヤーニ氏に話を伺った。彼は1990年から現在に至るまでスクーデリア デル ポルテッロの代表を務めている。

 義理の兄がアルファ ロメオのディーラーを経営していた関係で若い時からアルファ ロメオは身近な存在で、また、住まいがモンツァサーキットに近かったこともあり、レースを見学に行ったり、ドライバーと話をしたり、どんどんモータースポーツの世界にのめり込んでいったという。

 1965年「ジュリアGTヴェローチェ」で初めてヒルクライムレースに参戦。以降、彼のアルファ ロメオへの思いは変わらず続いている。

 カイヤーニ氏から発せられるエネルギーにはいつも圧倒される。75歳を過ぎた今でも世界中のサーキットにクルマを持ち込み、自らハンドルを握り数々のイベントに参加している。その中でも過酷な大陸横断のレース参戦への挑戦、メキシコの「カレラ・パナメリカーナ」、「ロンドン−シドニー・マラソン」、「メキシコラリー」、「北京−パリ間ラリー」などをはじめ、「ニュルブルクリンク24時間レース」、「スパ・フランコルシャン6時間」、「ル・マンクラシック24時間レース」、「ツールドフランス」、「ミッレミリア」、「グッドウッドリバイバル」、「グッドウッドフェスティバル オブ スピード」など数々のイベントににスクーデリア デル ポルテッロのメンバーと共に毎回ビショーネマークを背負い、どこまでも走り続ける人生だ。愛がなければ貫けない。

 カイヤーニ氏の中には、スクーデリア デル ポルテッロのロゴを形取っているアルファ ロメオ1900のコンセプト「Auto di famiglia che vince le corse(レースで優勝するファミリーカー)」の言葉が心に深く刻まれ、彼の背中を押してくれているようだ。また、建築家であるカイアーニ氏の古い建物を壊さずに歴史を尊重しながら修復していくという姿勢は、アルファ ロメオの世界でも同じことだという。歴史を大切にし、維持し、継承していくという点では同じなのだ。

 現在、スクーデリア デル ポルテッロのジェネラルマネージャーとしてアンドレア・カイアーニ氏が父の跡を継いでクラブの将来へ向けて新企画を投入し、多方面で活動をおこなっている。以下、3つの活動を紹介しよう。

・Museo Dinamico、Eventi-Expo-Manifestazioni
 メンバーのアルファ ロメオを各イベントに運びレースに参加するための全てのコーディネーションをおこなう。

・Experience、Service Corse
 スクーデリア デル ポルテッロ所有のクルマを各イベント、レースなどにレンタルし、それに関わる全てのオーガナイズ、また企業のイベントの企画に応じ、スクーデリア デル ポルテッロが様々な形でサポートをおこなう。

・Factory Portello
 スクーデリア デル ポルテッロのメンバーのアルファ ロメオの車両、部品の売買をおこなう。ここには興味深いものが掲載されているので是非、日本のアルフィスタの方にも見ていただきたい。

* * *

 最後にアンドレア氏からのメッセージを添えておこう。

「日本のアルフィスタの皆さんもスクーデリア デル ポルテッロのメンバーになって、ガレージに収まっているアルファ ロメオを外に出し、サーキットで走ってみませんか?」

 アンドレア氏のメッセージに心揺さぶられたアルファ ロメオオーナーの人は、アクセスしてみるといいだろう。

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