森が「道路」のようになぜ整理? 北海道の不思議スポット! 実は農業に重要な存在だった?

北海道には、森が一直線になっている部分が存在します。なぜ道のように整理された状態となっているのでしょうか。

きれいに並んでいる木々…これって一体何?

 北海道を飛行機や航空写真などで上から見るとまっすぐ木々が密に連なっているところがあります。
 
 自然の力ではこんなに木々がきれいに並ぶとは考えづらいため、人々によってまっすぐに木々が植えられたといえます。これには一体どういった理由があるのでしょうか。

上空から見ると十字路のように見える「中標津格子状防風林」(画像提供:中標津町 農林課自然環境係)
上空から見ると十字路のように見える「中標津格子状防風林」(画像提供:中標津町 農林課自然環境係)

 道路と同じように一直線に並んでいるこれらの木々は、一部ではなく北海道の多くの地域で見受けられます。

 北海道は、ほかの地域に比べ農作が活発におこなわれています。

 そんな広大な平野部が続いている土地は風の影響を受けやすいとされており、強風から農作物や住環境などを守るため防風林が植えられています。

 北海道立林業試験場が作成した「防風林の多面的機能と造成管理のための解説書」によると、防風林は強風や霧、津波などの自然災害から人々を守るための「海外防風林」、農作物、住環境向上によるための「内陸防風林」などの種類に分かれており、場所によって用途の異なる意味合いを持っています。

 また、雪が多い地域では,防風林は吹雪を捕捉して防雪効果を発揮します。

 そんな防風林のはじまりは地域によって異なります。例えば、北海道十勝の場合では、開拓期にもともと存在していた天然林を防風林として残したのが始まりとされています。また、地域によって開拓期に植えられた木々もあります。

 木々は、カラマツや育つ地域が限られている白樺が防風林として連なっており、畑を守るように設置されています。

 十勝支庁がおこなった「防風林への農業者への意識」のアンケートでは、防風林について利点、不利点のどちらも感じていると回答した人は62%で、防風林の利点については、「風の影響」が59.5%、「気温の影響」が25.8%と回答しています。

 また、防風林は農作や自然災害を守ってくれる意味に加えて、木々が連なっていることで、より美しい農村景観を構成する重要な要素にもなっています。

 アンケートでも、「防風林主体の景観を保存したいか?」という質問について75.4%の人がそう思うと回答。

 今後の防風林の取り扱いについては「現在あるものは残したい」と回答した人が44.5%、「新たに造成したい」と回答した人が17.8%と、60%以上の人が防風林を残していきたいと回答しています。

 このように、北海道の地域では防風林は欠かせない存在といえるでしょう。

 防風林について、研究を続けている北海道立総合研究機構の担当者は以下のように話します。

「防風林の多くは開拓期に農作物を保護するために造成されました。

 防風林は農作物の保護や成長促進のために植栽されています。
 
 防風林の多くは、保安林に指定されており、簡単には伐採が禁じられていますが、保安林にしてされていない防風林などは減少傾向にあります。

 今後の課題としては、農業を扱う世代が変わることで防風林のデメリットが目につき切ってしまう傾向にある点です。

 機械が大型化したことで、林が農業機械の移動に障害となったり、日陰になる部分もあるため収穫量が減ってしまうと感じる人もいるようです」

※ ※ ※

 面積の大きい北海道では、長く防風林が連なっていますが、本州の農作のある地域にも北海道のように距離が長くはないものの、防風林は植えられています。

 富山県西部に広がる砺波平野の散居村には「垣入(かいにょ)」と呼ばれる伝統的な屋敷林があり、元々その地で育っている原生林を残しつつ利用するといった方法をとっている地域もあるようです。

【画像】防風林を地上から見るとどうなってる? 美しき木々の様子を見る(14枚)

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