性能やデザインは秀逸だけど決め手に欠けた? もっと評価されてもよかった車5選

日本で本格的な自動車製造が始まって100年以上経ち、これまで星の数ほどのクルマが誕生しました。なかにはヒットするクルマもあれば、ヒットすることないモデルも存在。そこで、今ならもっと評価されても不思議ではないモデルを、5車種ピックアップして紹介します。

キラリと光るものがありながら、大ヒットしなかったモデルを振り返る

 世の中にはヒットするクルマばかりがあるわけではありません。むしろヒットしないクルマは数多く存在し、密かに消えていったようなモデルもあります。

光るものがあって再評価されてもよい絶版車たち
光るものがあって再評価されてもよい絶版車たち

 しかし、そうしたクルマがすべてダメなクルマかというと、そうではありません。

 大ヒットすることはなかったけれど性能的に優れていたり、秀逸なデザインであったりと、光るモノがあったクルマも存在。

 そこで、もっと評価されても不思議ではないモデルを、5車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「CR-Z」

ハイブリッド・スポーツカーを提案したもののヒットには至らなかった「CR-Z」
ハイブリッド・スポーツカーを提案したもののヒットには至らなかった「CR-Z」

 ホンダのハイブリッド車の歴史は、1999年に誕生した初代「インサイト」から始まりました。

 初代インサイトはトヨタ初代「プリウス」を上まわる燃費性能実現を目標に、アルミ製モノコックシャシの採用と2シーターとすることで大胆な軽量化をおこない、空力性能向上のために見た目はもはや生粋のスポーツカーというフォルムです。

 この、初代インサイト、さらにかつてライトウェイト・スポーツカーとして人気を博した「CR-X」をイメージさせるモデルとして登場したのが、2010年に発売されたハイブリッド専用車である「CR-Z」です。

 環境性能が優先されるハイブリッド車であってもMTを設定し、走りの良さを重視した斬新なコンセプトで開発されました。

 パワーユニットは114馬力の1.5リッター直列4気筒エンジンに、14馬力のモーターを組み合わせたパラレル式ハイブリッドシステムを搭載。走行時はエンジンのパワーが主体で、発進や加速、高負荷の状態でモーターがエンジンをアシストする仕組みです。

 トランスミッションはCVTまたは6速MTが選べ、10・15モード燃費はCVT車が25km/L、MT車が22.5km/Lを達成しました。

 外観はウェッジシェイプを採用したコンパクトな3ドアハッチバッククーペで、4シーターながらリアシートはミニマムな設計のため、実質的には2名乗車が適当なモデルです。

 CR-Zの走りは高く評価されましたが、すでにクーペのニーズは低下しており、発売直後は好調なセールスを記録するもすぐに陰りが見え、2016年に生産を終了しました。

 優れた燃費と走りのハイブリッド・スポーツカーという新ジャンルは受け入れられませんでしたが、まさに記憶に残る1台ではないでしょうか。

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●日産「ブルーバード 2.0SSS-Z」

有終の美を飾るように優れたエンジンを搭載した「ブルーバード 2.0SSS-Z」(画像は「SSS」)
有終の美を飾るように優れたエンジンを搭載した「ブルーバード 2.0SSS-Z」(画像は「SSS」)

 かつて、日産のラインナップのなかで、中核を担っていたモデルといえば「ブルーバード」が挙げられます。

 ブルーバードの歴史は長く、初代は1959年に誕生し、2001年に10代目をもって幕を閉じました。

 この最終モデルの10代目ブルーバードに、1997年のマイナーチェンジで追加された高性能モデルが「2.0SSS-Z」です。

 ブルーバードは6代目の910型以降、高性能なグレードはターボエンジンが定番となりしたが、この10代目では全車自然吸気エンジンへと回帰しました。

 そして2.0SSS-Zには、可変バルブタイミング機構を装備した2リッター直列4気筒自然吸気エンジン「SR20VE型」を搭載。最高出力は190馬力を誇り、歴代ブルーバードの自然吸気エンジン車では最強のパワーユニットです。

 駆動方式はFFの2WDのみで、トランスミッションは6段マニュアルシフト付きのCVT「ハイパーCVT-M6」が採用され、スポーティな走りを実現。

 しかし、1990年代はファミリーカーの定番はミニバンへと移行した時代で、セダンの人気は低迷。前述のとおりブルーバードは2001年に消滅。

 実質的な後継車は「ブルーバードシルフィ」ですが、サニーと共通のシャシで車格はワンランク下のモデルとなってしまいました。

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●スバル「レガシィB4/ツーリングワゴン 2.0R」

高性能かつ高回転の自然吸気エンジンを搭載した「レガシィB4 2.0R」
高性能かつ高回転の自然吸気エンジンを搭載した「レガシィB4 2.0R」

 現在、国内向けの生産を終えてしまったスバル「レガシィ」シリーズは、初代が1989年に誕生。ハイパワーなターボエンジン+フルタイム4WDの組み合わせによって、高性能セダン/ステーションワゴンという地位を確立し、スバルのブランドイメージ向上にも貢献したモデルでした。

 この初代以降、レガシィの高性能グレード=ターボエンジンとなりますが、2003年に登場した4代目では、優れた自然吸気エンジンのモデルとして「2.0R」がラインナップされました。

 2.0Rに搭載されたエンジンは2リッター水平対向4気筒自然吸気の「EJ20型」で、圧縮比11.5から最高出力190馬力を7100rpmで発揮(MT車)。名機と呼ばれるEJ20型のなかでも唯一の高回転型エンジンです。

 トランスミッションは5速MTと4速ATが設定され、自然吸気エンジンならではのアクセルレスポンスや、7500rpmのレッドゾーンまで気持ちよく吹け上がるフィーリングが高く評価されました。

 しかし、やはりレガシィというとターボエンジン車の人気が高く、5代目はボディがさらに大型化したこともあって自然吸気エンジン車は2リッターを廃止。2.0Rは4代目限りのモデルとなってしまいました。

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