モバイル免許に小型低速車…「車ユーザーの生活」今後5年でどう変わる? 交通政策の影響は

2025年度までの交通政策の“道しるべ”として、第2次交通政策基本計画が閣議決定されました。政府が重点施策として掲げるデジタル化とグリーン化を中心とした方針は、今後、乗用車ユーザーの日常生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

今後5年間の政策でクルマ生活はどう変わる?

 新型コロナ禍により、リモートワークや、公共交通機関ではなくマイカーでの移動が増えるなど、感染予防の観点から移動について新しい生活様式が取り入れられるようになりました。

 一方で、世界的な社会変化のなかでデジタル化の推進であるDX(デジタルトランスフォーメーション)や、CO2(二酸化炭素)排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの2050年実現に向けたグリーン化など、日本の産業力を強化するための新しいビジネスについては、自動車メーカーを含めて社会全体で大きな議論になっています。

トヨタの超小型EV「C+pod」。
トヨタの超小型EV「C+pod」。

 そうしたなか、政府は2021年度から2025年度までの交通政策の“道しるべ”として、第2次交通政策基本計画を取りまとめ、2021年5月28日に閣議決定しました。

 このなかから、乗用車ユーザーにとって直接的、または間接的に影響を受けると思われる内容をピックアップしてみたいと思います。

 まず、デジタル化では、運転免許証とマイナンバーカードの一体化して運用する、いわゆる「モバイル運転免許証」を2024年度末から導入します。

 具体的には、マイナンバーカードのICチップに運転免許証に関連するデータを埋め込むことになるでしょう。ヨーロッパの一部の国や、アメリカの一部の州では、スマートフォンやタブレットからドライバー自身が運転免許データにアクセスできる仕組みを構築しています。

 日本では今後、海外での事例や国際規格の策定状況などを踏まえて、日本版モバイル運転免許証のあり方の検討を進めるとしています。

 また、自動車検査証(車検証)の電子化は2023年1月から運用を開始する予定です。

 電子車検証はA6判の台紙にICタグを貼り付ける方向を採用します。これにより、各種の申請手続きをオンラインでできるようになります。

 次にグリーン化ですが、2020年12月に公表された「グリーン成長戦略」に基づき、乗用車については2035年までに新車販売で電動車100%を実現できるよう包括的な措置を講じるとしています。ここでいう電動車とは、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、そして燃料電池車を指しています。

 グローバルで見ると、ヨーロッパでのCO2規制が厳しいことから、ボルボが2030年まで、またジャガーが2025年までにEV専用ブランドとなることを発表しています。一方の日本はすでにハイブリッド車の新車販売台数が多いことや、トヨタが進める水素エンジン車など、社会情勢や企業方針によって、2050年カーボンニュートラルを目指す動きが進むと予想されます。

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