今ではかなりの希少種? 自然吸気エンジン搭載のホットハッチ5選

2000年代に欧州車から始まったダウンサイジングターボエンジンは小型車を中心に普及し、いまではあらゆるセグメントのモデルが搭載しています。一方で数を減らしてしまったのが、自然吸気エンジンのホットなコンパクトカーです。そこで、往年のNAエンジンを搭載したホットハッチを、5車種ピックアップして紹介します。

リニアなパワー特性が魅力の自然吸気エンジンを搭載したホットハッチを振り返る

 コンパクトカーをベースに高性能なエンジンを搭載し、強化された足まわりやブレーキによって優れた走りが魅力の「ホットハッチ」は、かつては高い人気から各メーカーともラインナップしていました。

自然吸気エンジンを搭載した魅力的なホットハッチたち
自然吸気エンジンを搭載した魅力的なホットハッチたち

 近年、コンパクトカーは経済的で使い勝手のよいクルマとして、燃費性能の向上や室内の広さの拡大などが重視される傾向にあり、スポーティなグレードは減少している状況です。

 さらに、2000年代から欧州車を中心に始まったダウンサイジングターボエンジンの普及により、自然吸気エンジンの高性能モデルも数が減ってしまいました。

 そこで、往年の自然吸気エンジンを搭載した日欧ホットハッチを、5車種ピックアップして紹介します。

●日産「ノート NISMO S」

惜しまれつつ消えてしまった1.6リッターエンジンの「ノート NISMO S」(前期型)
惜しまれつつ消えてしまった1.6リッターエンジンの「ノート NISMO S」(前期型)

 2020年12月に日産「ノート」が3代目にフルモデルチェンジしました。

 大きなトピックスとしてパワーユニットが全車e-POWERとなったことが挙げられ、純粋なエンジン車はラインナップされていません。そのため、現状ではスポーティなモデルは2代目の「ノート NISMO S」が最後です。

 2012年にデビューした2代目ノートに、NISMO Sが追加ラインナップされたのは2014年のマイナーチェンジの時で、NISMO Sの開発と生産はオーテックジャパンが担当しました。

 外装は専用のエアロパーツを装着しカラーリングも専用。内装もスポーツシートと専用のハンドルを採用し、インパネまわりは赤い差し色でコーディネートされるなど、NISMOシリーズに共通してスポーティな印象です。

 エンジンはNISMO S専用チューニングの1.6リッター直列4気筒自然吸気を搭載。高圧縮比化してハイリフトカムシャフトが組み込まれるなど最高出力140馬力を発揮し、組み合わされるトランスミッションは5速MTのみです。

 また、シャシまわりでは強化サスペンション、専用ブレーキシステム、補強によるシャシ剛性アップ、ハイグリップタイヤを装着するなどコーナリング性能を向上。

 ノート NISMO Sは貴重な1.6リッターNAエンジンを搭載したホットモデルでしたが、前述のとおり2020年12月で消滅してしまいました。

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●スズキ3代目「スイフトスポーツ」

シリーズ最後の自然吸気エンジンを搭載した3代目「スイフトスポーツ」
シリーズ最後の自然吸気エンジンを搭載した3代目「スイフトスポーツ」

 現行モデルのかなでも数少ない生粋のホットハッチといえば、スズキ4代目「スイフトスポーツ」です。

 970kg(MT)の軽量な車体に、140馬力を誇るシリーズ初の1.4リッターターボエンジンを搭載し、6速MTを設定するなど、類まれなドライビングプレジャーを発揮します。

 一方、2011年に登場した3代目は1.6リッター直列4気筒自然吸気エンジンを搭載したモデルで、最高出力は136馬力を発揮。パワーは4代目にわずかに劣りますが1040kg(MT)と軽量な車体には十分なパワーで、レスポンスの良い自然吸気エンジンは大いに魅力的です。

 トランスミッションはシリーズ初の6速MTと、パドルシフト付7速マニュアルモードを採用したCVTを設定。

 外観は専用デザインの前後バンパーやルーフスポイラー、左右2本出しのマフラーなどを装備し、スタンダードなスイフトよりもスポーティさを強調しています。

 現行モデルのスイフトスポーツは優れたホットハッチですが、3代目の走行フィーリングの良さも引けを取りません。

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●ダイハツ「シャレード デ・トマソ」

まさに有終の美を飾るにふさわしいモデルだった「シャレード デ・トマソ」
まさに有終の美を飾るにふさわしいモデルだった「シャレード デ・トマソ」

 かつて、ダイハツの登録車のなかで、主力車種だったのがコンパクトカーの「シャレード」です。

 1977年に発売された初代シャレードは、量産車世界初の1リッター直列3気筒SOHCエンジンを搭載し、2代目では世界最小の1リッターディーゼルエンジン、同ターボエンジンを設定するなど、先進的なモデルとなっていました。

 その後、1984年には2代目シャレードをベースに、イタリアのチューナーであるデ・トマソが監修した高性能モデル「シャレード デ・トマソターボ」が発売され、一躍シャレードはハットハッチとしての人気を獲得。

 3代目ではデ・トマソが一旦消滅してしまいましたが、1993年に発売された4代目で復活し、エンジンはシリーズ初の1.6リッター直列4気筒自然吸気を搭載。

 最高出力は125馬力と決してパワフルではありませんでしたが、わずか900kg(MT)という軽量な車体と相まって、優れた動力性能を発揮しました。

 また、専用チューニングされた4輪ストラットの独立懸架に4輪ディスクブレーキが奢られ、車体剛性のアップなどが施されたことから優れたコーナリング性能も獲得。

 装備も専用のエアロパーツや、ピレリタイヤ、ナルディ製ステアリング、レカロ製シートなど、デ・トマソシリーズに共通する逸品が採用されました。

 しかし、2000年に実質的な後継車である「ストーリア」にバトンタッチするかたちで、シャレードの歴史は幕を閉じました。

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