エンジンチェックランプ点灯は酸素が密の証!? クルマのO2センサーで見える化できることとは

コールドスタート時に排気ガスが臭いわけ

 ところがこのO2センサーは、ある程度暖まってからでないと機能をしない。O2センサーの鍵となる酸素濃度に反応して電気を発生する材料であるジルコニア素子は、約300℃にならないとその起電力を発生しないからである。

 エンジンさえ暖まっていれば、排気ガスの温度は軽く300℃を超えており、エンジンが高回転で運転しているときには、800℃くらいまで上昇する。その状態であれば、ジルコニア素子は問題なく機能する。

エンジンさえ暖まっていれば、排気ガスの温度は軽く300℃を超えており、エンジンが高回転で運転しているときには、800℃くらいまで上昇する
エンジンさえ暖まっていれば、排気ガスの温度は軽く300℃を超えており、エンジンが高回転で運転しているときには、800℃くらいまで上昇する

 ここでひとつ問題となるのは、冷えきった状態でのエンジン始動である。

 エンジンが冷えきっていると、当然ながら排気ガスの温度も低いままだ。そうするとO2センサーが働かないのだ。そのためO2センサーも同時に暖めてやらないと、どの程度燃料を噴射していいのか、ECUは判断できなくなってしまう。

 そこでO2センサーには、ヒーターが装備されている。エンジンキーやプッシュボタンをONの状態にしたとき、水温が低い状態であったら、O2センサーのヒーターが作動して、ジルコニア素子を暖めるというわけだ。

 さらにいうと、エンジンが冷えているときは、着火性能を高めるため、また素早くエンジンの温度を上げるために若干混合気を濃くしている。また、水温が高くなりすぎたときには、燃料を気化させることによる気化潜熱を利用して燃焼室の温度を下げるために混合気を濃くする。こうした場合も、混合気の燃焼状態をリアルタイムで監視するO2センサーの役割は大きい。

●もしもO2センサーが故障してしまったら

 このO2センサーが故障をしていたら、ECUは適正な燃料の噴射量を判断できなくなってしまう。その場合、エンジンが不意に止まってしまうことを防ぐため、燃料を濃いめに噴射する。

 そうすると排気ガス濃度が濃くなるので、排気ガスの臭いがきつくなったり、黒っぽい排気ガスがマフラーから出てきたりする。さらにアイドリングがばらつく、などといった症状も出がちになる。

 しかし、そういった症状を確認する以前に、O2センサーが異常の場合には、エンジンチェックランプが点灯するので、不具合は把握しやすい。

 長年受け続けた振動によってジルコニア素子にダメージを受けたり、配線の劣化や、排気ガス中に含まれている不純物の堆積などがO2センサーの故障の主な原因なのだが、故障したまま走行を続けていると、燃費が悪くなるだけでなく、触媒の故障などを引き起こすことになる。

 単にO2センサーのみの交換であれば数万円で済んだ修理費用が、触媒交換ともなると、軽くふた桁万円は掛かってしまう。

 もちろんエンジンチェックランプは、O2センサーだけではなく、他のセンサーの不具合も含めたエンジン関係の不具合で点灯するものだ。

 もしこれが走行中に点灯したら、なるべく早めにディーラーや整備工場に入庫し、どんな不具合が起こっているのか点検してもらうことをお勧めする。早めの対処は修理費用を大きく抑えることにつながるからだ。

【画像】ところでO2センサーはどこにある?(16枚)

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