高級車じゃないけどお金かかってる? ジツは贅沢な車5選
実際にカスタムしたら、とんでもない価格になりそうな2台の派生車とは?
●トヨタ「bB オープンデッキ」
1999年に発売されたトヨタ初代「ヴィッツ」は、グローバルカーとしてだけでなく、トヨタのコンパクトカーラインナップを形成する中核となるモデルでした。
そのため、初代ヴィッツのシャシやコンポーネントを流用することで、複数の車種を展開。そのなかの1台が若者層をターゲットとした小型トールワゴンの初代「bB」です。
2000年に発売されたbBはボクシーな外観と、内装もヴィッツとは大きく異なるポップなデザインで、トールワゴンとしての使い勝手の良さや手頃な価格が相まってヒットを記録。
そして、2001年には異色の派生車、「bB オープンデッキ」が発売されました。
bB オープンデッキは荷室部分がピックアップトラックと同様な荷台となっており、キャビンの荷室部分の上半分を切り取ったようなイメージで、荷台となっていますが商用車ではなくの5ナンバー登録の乗用車です。
荷台は決して大きくないため、長尺物を収納する際にはキャビンと荷台を隔てるドアを開けると室内と荷台がつながる、トランクスルーを採用。
また、bBが一般的な4ドアだったのに対し、bB オープンデッキでは右側がワンドア、左側はセンターピラーレスの観音開きドアを採用するなど、リアシートへの乗降性も考慮されていました。
まるでショーカーともいうべきbB オープンデッキは、フロントセクション以外のボディパネルがほぼすべて新作されたことで、かなりのコストがかかっていたと思われますが、価格は169万円(消費税含まず)と、ベース車の中間グレードほどの低価格でした。
しかし、トラックのような荷台はユーザーが限定されてしまい、販売は低迷。登場からわずか2年後の2003年にラインナップから消滅してしまいました。
●ホンダ「N-BOXスラッシュ」
現在、日本の自動車市場でもっとも売れているクルマといえばホンダ「N-BOX」シリーズですが、初代は2011年に発売され、同社独自のセンタータンクレイアウトの採用と、エンジンルームのサイズ圧縮などにより、ライバルを上まわる広い室内空間を実現したことで大ヒットしました。
そして2014年には初代N-BOXをベースに全高を1670mmまで低くして、クーペをイメージしたフォルムの派生車「N-BOXスラッシュ」が誕生。
N-BOXスラッシュはすべてのピラーを短くして全高を下げる手法を採用し、さらにリアドアをN-BOXのスライドドアに対してヒンジドアに変更されるなど、フロントセクション以外のボディパネルと、ウインドウガラスすべてが新規で設計されたことになります。
内装では配色や素材の異なる5つの世界観を表現した5パターンを用意。
オーディオは8スピーカー+サブウーファーのハイクオリティなものが設定され、ディーラーオプションで内装の微振動を低減するデッドニングキットが用意されるほど、音質に強くこだわっていました。
ほかにも、電動パーキングブレーキやパワーステアリングのアシスト力を選択できる「モード切り替えステアリング」なども、N-BOXスラッシュのみの装備です。
もともと、初代N-BOXの開発段階でN-BOXスラッシュは計画されておらず、エクステリアデザイナーが遊びで書いたスケッチから量産化が決まったといいます。
開発チームのこだわりが凝縮されたN-BOXスラッシュは、2代目N-BOXが発売された後もモデルチェンジすることなく継続して販売されていましたが、2020年2月に生産を終了しました。
※ ※ ※
本文中のbBオープンデッキとN-BOXスラッシュは、販売的には順風満帆とはいえなかったモデルですが、メーカーがつくったカスタマイズカーそのもので、見ているだけでも楽しくなります。
たしかに使い勝手という点ではスタンダードなbBやN-BOXの方が優れていますが、この2台にはメーカーとしての余裕のようなものが感じられます。
しかし、メーカーも商売でクルマを売っているわけですから、売れないという実績が明らかでは、こうしたモデルが再び出ることは難しいでしょう。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。