高級車じゃないけどお金かかってる? ジツは贅沢な車5選
高額なクルマには理由があります。スポーツカーならばエンジンや足まわり、ブレーキなど、高級車ならば塗装や内装の素材、遮音材や快適装備などにコストがかかっているのが一般的です。一方、それほど高額車でなくてもしっかりとお金がかけられたクルマも存在。そこで、実は贅沢だった意外なクルマを5車種ピックアップして紹介します。
ある意味、贅沢なクルマを振り返る
クルマ1台を製造するには数万点もの部品が必要です。そのため、各メーカーとも日々、部品1点1点についてコストダウンを模索しています。
部品のコストはそのままクルマの価格に影響を及ぼしますが、高額なクルマの場合、当然ながら重要な場所にコストがかかっているわけです。
例えば、高性能なスポーツカーならば、エンジンや足まわり、ブレーキ、エアロパーツ、軽量化に必要な素材などが高コストとなっています。
また、高級車ならば塗装の質の向上や内装では本革やウッドなどの高価な素材を使い、静粛性を高める遮音材やタイヤ、快適装備の充実によって車両価格も高くなるのが一般的です。
一方で、それほど高額なモデルでなくても、しっかりとお金がかけられたクルマも存在。そこで、振り返ってみると実は贅沢だったクルマを5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ミラージュ」
1991年に発売された三菱4代目「ミラージュ」は、「ランサー」とコンポーネンツを共有し、3ドアハッチバックと4ドアセダンのバリエーションで展開されました。
そして、1992年にはそれまでマツダが記録していたよりもさらに小さく、世界最小を塗り替えた1.6リッターV型6気筒の「6A10型」エンジン搭載車を追加ラインナップ。
最高出力140馬力を発揮する世界最小V型6気筒エンジン「6A10型」は、4ドアセダンの「ROYAL」と「VIE LIMITED」に搭載され、本来はエントリーカーであるミラージュがジェントルでラグジュアリーなモデルへと仕立てられました。
この6A1系エンジンは1.6リッターから2.5リッターまでラインナップされており、2リッターを標準に設計されていたと考えられ、かなり無理矢理ですが小排気量化自体は難しくなかったといえます。
しかし、部品点数や製造コストを考えると1.6リッターで6気筒はオーバークオリティであり、重量増という面でも不利ですが、採用に至ったのはまさにバブルの名残だったからといえるでしょう。
その後、1995年に登場した5代目ミラージュでは1.8リッターV型6気筒の「6A11型」エンジンにスイッチされ、1999年にはラインナップから消滅してしまいました。
ちなみに、6A10型登場以前に最小だったマツダ製V型6気筒エンジンは1.8リッターでした。
●日産「マキシマ」
日産は1981年に北米市場で、「ブルーバード」をベースにした上級モデルの「マキシマ」を発売。日本でも1984年から「ブルーバードマキシマ」の名で販売を開始しました。
その後代を重ねて1988年には3代目がデビューし、日本でもマキシマへと車名が変わってブルーバードから独立した車種として展開。
3代目マキシマは、外装に曲面を多用することで柔らかな印象のスタイリッシュなアッパーミドルクラスのセダンで、日本ではバブル景気という背景もあって人気となりました。
そして、1991年のマイナーチェンジでは、よりラグジュアリーなグレードとして「マキシマ 3000SV」が登場。
エンジンは3リッターV型6気筒DOHCの「VE30DE型」で、4代目「フェアレディZ」や初代「シーマ」にも搭載された「VG30DE型」をベースとしていました。
もともとVG30DE型はFR用に開発されたエンジンだったため、FFのマキシマに搭載するにあたって単に横置き用にマウントまわりを設計変更するだけにとどまらず、マキシマのエンジンルームのスペースの問題から、新規でシリンダーヘッドとバルブ駆動系(タイミングチェーンまわり)を設計する必要がありました。
そうして搭載されたVE30DE型は最高出力195馬力とパワフルで、マキシマの商品力を向上させることに成功したといえます。
しかし、パワーの割にエンジン重量が重いという欠点があり、FFであるマキシマではよりフロントヘビーとなったことから1994年に4代目では、FF、FRどちらにも搭載することを前提に新開発されたV型6気筒エンジン「VQ30DE型」に換装。
そのため、VE30DE型は3代目マキシマ以外には搭載されず、わずか3年間で生産を終了してしまいました。
いわゆる「腰下」はVG30DE型というベースがあったにせよ、たった1車種のために主要な部品が新設計されて短命に終わったVE30DE型は、とても贅沢なエンジンだったといえるのではないでしょうか。
●ダイハツ「ソニカ」
2006年に発売されたダイハツ「ソニカ」は、それまでの発想とは異なる新時代の軽スペシャリティカーとして開発されたモデルです。
当時、軽自動車市場ではハイト系ワゴンが主流になりつつありましたが、あえて1470mmという低めの全高によってスタイリッシュな2BOXのフォルムを実現。
ボディ各所に風切り音やロードノイズを低減する技術を採用して静粛性を高めていました。また、低い全高による低重心化とロングホイールベースにより、優れた走行安定性と乗り心地の良い快適な走りを両立しています。
搭載されたエンジンは全グレードとも最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボで、トランスミッションはCVTが組み合わされ、余裕あるクルージング性能を目指しました。
さらにキーフリーシステムや、一部グレードには花粉除去モード付きのオートエアコン、セキュリティアラームが採用されるなど、軽自動車という枠にとらわれない充実した装備となっています。
当時、ソニカは高く評価されましたが、すでに市場には軽スペシャリティカーのニーズがなく販売は低迷。発売からわずか3年後の2009年に生産を終了しました。
これほどこだわった設計と装備ですが、ソニカのトップグレード(2WD)で価格は141万7500円(消費税5%込)と、かなりのバーゲンプライスではないでしょうか。
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