復活は望めないからこそ貴重な存在? 2000年代に消えた2リッター高性能車5選
コンセプトが異なる2台の2リッターFRスポーツ車とは?
●日産「シルビア」
日産が誇るFRスポーツカーとして今も高い人気をキープしている「シルビア」は、1988年発売された5代目の「S13型」が大きな転換期となったといえるでしょう、
この5代目のイメージを踏襲して、1999年に7代目のS15型 シルビアが登場しました。
ボディはS13型以降で共通の2ドアクーペのみで、全長4520mm×全幅1730mm×全高1295mmと3ナンバーサイズだった6代目から全長4445mm×全幅1695mm×全高1285mmへとダウンサイジングされ、再び5ナンバーサイズに戻されただけでなくボディラインもエッジの効いたフォルムとすることで、シャープな印象を取り戻しました。
搭載されたエンジンは6代目と同型の2リッター直列4気筒ターボ「SR20DET型」ですが、最高出力は220馬力から250馬力へとパワーアップを果たし、新たに採用された6速MTと車重を20kgほど軽量化したことも相まって、FRスポーツとして走りのポテンシャルは格段に向上。
しかし、S15型 シルビアは排出ガス規制強化などの対応が困難なことや日産の業績悪化もあって、発売からわずか3年7か月後の2002年に生産終了となり、歴史に幕を閉じました。
●トヨタ「アルテッツァ」
近年、国内のラインナップから数を減らしているセダンですが、1990年代はスポーティなセダンの全盛期だったといえます。
そのなかの1台が1998年に発売されたコンパクトボディのFRスポーツセダン、トヨタ「アルテッツァ」です。
やみくもに速さを競い合うことよりドライビングそのものを楽しむことをコンセプトに開発され、「AE86型レビン/トレノ」の再来という期待の高さからヒットを記録します。
流麗でダイナミックなフォルムが特徴のボディに搭載されたエンジンは、2リッターの直列4気筒DOHCと直列6気筒DOHCで、なかでも4気筒モデルはスポーツユニットとして誉れ高い「3S-GE型」を搭載し、最高出力は210馬力(MT)を発揮。
トランスミッションは4気筒車では6速MTとステアマチック付の5速AT、6気筒車は当初5速ATのみでしたが、遅れて6速MTが設定されました。
足まわりは4輪ダブルウイッシュボーンとし、ドイツのニュルブルクリンクで磨きをかけ、優れた高速安定性と高いコーナリング性能を両立。
また、バッテリーをフロントサスペンションタワーの後方へ、燃料タンクはリアシートの下に配置するなど、重量物をホイールベース内に収めることによって最適な前後重量配分とするなど、かなりこだわった設計でした。
2001年にはファイナルギアの変更や足まわりを改善するマイナーチェンジがおこなわれますが、2005年をもって販売を終了。
後継車は国内でも展開されたレクサスブランドの「IS」で、プレミアムなスポーツセダンへとコンセプトは変化しました。
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国内メーカーの現行モデルで2リッターエンジンの高性能車というと、すでに生産終了が決定したホンダ「シビックタイプR」や、トヨタ「スープラ SZ/SZ-R」くらいです。
2021年秋にデビュー予定の新型トヨタ「86」、スバル「BRZ」は2.4リッターエンジンとなるため、高性能な2リッターエンジンの減少に歯止めがかからない状況といえます。
それでも、トヨタが「カローラツーリング」の限定車に2リッターエンジンを搭載すると、あっという間に完売するなどまだまだニーズはあるようですが、ダウンサイジングターボやハイブリッド車が主流となった今、劇的な復活は難しそうです。
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