なぜ車のACCは時速180kmまでセット可能? 制限速度を上回る速度に設定できる理由
かつては115km/h前後まで設定可能だった理由は?
国産車では180km/hまで対応するようになったACCの速度設定ですが、従来はACC以前からあるクルーズコントロールも含めてほとんどの速度設定が115km/h前後とされていました。
この速度規制については法律で決まっているものではなく、あくまで国内自動車メーカー間の自主規制によるものです。
すでにかつての高速道路の制限速度である100km/hを超えて設定できるようになっていたのは、スピードメーターの誤差を考慮していたからです。
スピードメーターは、実際の速度よりも速い数値を表示するように設定されていたり、タイヤの摩耗や空気圧の低下によってタイヤ1周の距離が変化することから、誤差が生じるのは避けられません。
2007年1月1日以降製造されたクルマについては、車検検査においてもスピードメーターが40km/hを表示しているときに、実速度が30.9km/hから42.55km/hの範囲内に収まっていればよいとされています。
それ以前に製造されたクルマについては、スピードメーターが40km/hのときに実速度が30.9km/hから44.4km/hの範囲内に収まっていればよいとされているなど、かなりの誤差が認められているのです。
つまりスピードメーターでは115km/hを示していても、実際の速度は100km/h前後ということもあるため、その誤差を勘案してACCの設定速度を115km/h前後に自主規制していました。
もちろん、これは国内に限っての話なので、速度無制限のアウトバーンがあるドイツ車のように輸入車については従来からACCに速度規制は設定されていません。
2016年3月に警察庁が高速道路の制限速度を120km/hまでに引き上げることを認める方針を打ち出しています。
2020年12月22日には、新東名の静岡区間(御殿場JCTから浜松いなさJCT)の全面6車線化と同時に最高速度が120km/hまで引き上げられるなど、本格的な高速道路120km/h時代を迎えています。
この動きに合わせるように国産メーカー各社もACCの速度設定の自主規制をやめていったということなのでしょう。
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ACCはドライバーのストレスを減らし、渋滞や事故を減らすのにとても効果があるとされていますが、過信は禁物です。
ACCの自主規制はなくなりましたが、クルマの運転に対して最終的に責任を負うのはドライバー自身です。交通の流れをしっかり読み、安全運転を心がけましょう。
日本ではACCもリミッターも120km/hくらいを上限にすればいいのです。それを法律化すると高速安定性自慢の某輸入車の存在価値が弱まるからでしょう。