高齢者の免許返納が減少!? コロナ禍だけではない自主返納にブレーキがかかる訳とは
自治体が独自に取り組む「限定運転」とは?
そこで福井県は、高齢者が自主返納した後の生活を維持するために、市町村と連携してさまざまな交通手段の確保を目指しています。
たとえば、自宅近くまで送迎可能な「自家用有償旅客運送」と呼ばれる地域住民が運転手を務める公共交通や、社会福祉協議会や民間福祉施設による送迎サービスなどがあります。
それでも、家族や地域コミュニティに対する遠慮、また自分の好きな時間に自由に移動したいという移動に対する基本的な気持ちが優先し、運転を続けるリスクを高齢者自身が十分に承知しながらも自主返納しない人が大勢いるのが現実なのです。
こうした地域社会における高齢者の生活実態を踏まえて、福井県が2019年から始めたのが「限定運転」という考え方です。
この「限定」とは、運転免許での「AT車限定」や「眼鏡等」などの「限定免許」とは違い、運転者が自主的に宣言するもので、法的な拘束力はありません。
具体的には、夜間や薄暮時、雨や雪の日、自宅近辺以外、通学時間帯、長距離運転、高速道路の運転、体調不良等という7つの項目があり、これらのなかから運転者が自主的にチェックマークを入れたカードを運転中に携帯することで、高齢者に安全運転の意識を高めてもらおうという試みです。
こうした考え方は、福岡県の「補償運転」、また富山県では「やわやわ運転」として各県で独自の宣言内容を盛り込んでいます。
国としては、「限定免許」として、アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置などを装着した「サポカー限定」を2022年目途に導入しますが、全国各地で徐々に広がり始めた走行する時間や場所を限定といった細かい限定要件を盛り込むまでの判断には至っていません。
免許所持者の年齢分布をみれば、今後は運転免許所持者の高齢化が進むことは明らかです。
そうしたなかで、自主返納、または免許での限定要因の設定をどのようにバランスさせていくのか、解決に向けてはまだ多くの課題があると感じます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
本来なら車に御主人の情報を見分ける回路を埋め込むのが近道なのですが、ブレーキとアクセルの踏み間違いという言い逃れに舵取りをした自動車産業の安全装置ビジネス〜補助金の流れ、使うべきところに充てる金はもう無いでしょう?
免許証返納で事故を減らそうと言う都会独特の絵に描いた餅の感覚の制度、返納者への移動代替案も追々の周回遅れ
返納しにくい車が必要な条件下ではバスやタクシーの旅客事業の事業撤退の問題もあるかもしれません。
免許返納で事故を減らそうと言う発想は昔の大型二輪免許証を取らせないやりかたで事故を抑えこむ場当たりな制度の再来ですね。
無免許でも知識があれば車は運転できますし、認知度を理由に免許を返納するのなら尚更です。
免許返納を忘れて運転できる現実もあるでしょう。
制度を変える役人は自分は老いないつもりでいるのか?もしくは欠落した免許制度の火消し策なんでしょうか?