見たことない教習車の給油 整備はいつやる? 寿命は何年? 意外と知らない教習車トリビア

いつも燃料が入っていて、常にメンテナンスが行き届いているように見える教習車。いつ給油しているのか、定期的なメンテナンスはされているのでしょうか? 今回は、そんな教習車のトリビアを教習所の元教官にいろいろ聞いてみました。

どんなクルマが教習車になる? 最近ではハイブリッドの教習車も

 免許を取得するために、多くの人が通う自動車教習所。そして運転技術を学ぶために乗るのが教習車です。しかし、給油のためにガソリンスタンドに寄る教習車はみかけません。さらに誰が乗っても同じコンディションを保たせるために、きっちりメンテナンスされている印象もあります。

 そこで今回は、教習車にまつわるトリビア的な雑学について、教習所の元教官に聞きました。

教習車の日常点検は誰がやっている?
教習車の日常点検は誰がやっている?

 まずは、どんなクルマが教習車に選ばれやすいのか、教習専用車種があるのか、そもそもの条件(規定)などがあるのかを調査してみました。また教習車ならではの装備もチェックしてみたいと思います。

 教習車の規定は「道路交通法」ではなく、「道路交通法施工令」の第34条第3項の第2号または第4項第2号に記載されている「旅客自動車の運転に関する教習を行う施設」の基準内容で示されています。

 この基準では「教習指導員が応急の措置を講ずることができる装置を備えているもの」と「全長4.4m以上、全幅1.69m以上、ホイールベース(最遠軸距)2.5m以上、トレッド(輪距)1.3m以上、乗車定員5名以上の普通自動車」となっています。

 つまり軽自動車やコンパクトすぎるクルマはNGということです。

 また「応急の措置を講ずることができる装置」というのは、助手席に設けられた「指導員用サブブレーキ」や「指導員用ミラー」などを指しています。

 これに対応している車種としてトヨタ「カローラアクシオ」ベースや、あるいはマツダ「マツダ2セダン(日本未発売)」ベースの教習専用車などが、上記の規定に当てはまるクルマとなっています。

 しかし現在の少子化によって教習所の数が減っており、顧客獲得のための差別化として、専用装備を装着したハイブリッドモデルや高級な輸入車を教習車として使用する教習所もあり、もう少し車種は多い状況です。

 とくに昨今は「AT限定免許」取得者が圧倒的に多いうえに、ハイブリッドモデルの増加などもありトヨタ「プリウス」を使用しているケースが多く見かけられます。この場合、メーカーが教習車に仕立てているのではなく、整備工場で教習車専用装備を取り付けているそうです。

 それでは、教習車の給油や日常的なメンテナンスはどこでおこなわれているのでしょうか。また故障やトラブルはないのでしょうか。都内の教習所で実務経験のある元教官に聞きました。

「教習車の給油は、教習所の敷地内にある専用の給油所で2日に1度の頻度でしていました。設置される場所が、教習の妨げにならない場所に設置されるケースが多いので、ほとんどの教習生は見たことがないと思います。ここで給油しているので、教習車はいつも燃料が十分に入っています」

 また教習所によっては、ピット(整備場)が完備され、日常的なメンテナンスも所内で行っているそうです。

「私が働いていた教習所では、専門の担当者(メカニック)がいました。ただ、6か月ごとの法定点検や車検などは、付き合いのある地元の整備工場に数台ごとお願いしていた記憶があります。ちなみに洗車は教官たちが教習前に自分たちで洗うのが基本でした」(元教官)

 教習所によって違いはあるものの、ある程度は自分が担当するクルマが割り振られ、日常的な管理を教官がしていたそうです。

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