車止めに金属製の鳥が4羽、なぜ? 公園などで見かけるホッコリ設置物の正体とは
公園や駅前交差点などでは、金属製の鳥が4羽乗っている車止めをたまに見かけることがあります。車止めになぜ4羽の鳥を配置したデザインを採用したのでしょうか。
見たことある?金属製の鳥が乗ったクルマ止め「ピコリーノ」とは
歩道や公園などクルマの侵入を妨げるために設置される車止め。その多くはシンプルなデザインが多いですが、なかには金属製の鳥が4羽乗っている車止めを見かけることがあります。
なぜ4羽の鳥が配置されているのでしょうか。
金属製の鳥が4羽乗っている車止めには「ピコリーノ」という名称が付けられています。
公園などや駅前交差点などでは、クルマの侵入を防ぐための車止めが置かれており、その多くはシンプルで無機質なデザインです。
そんななか、ひと際印象に残る金属製の鳥が乗っているピコリーノを開発したのは、旗をたてるためのアルミ製「旗ポール」を専門にする会社の株式会社サンポールです。
サンポールは、1970年に旗ポールメーカーとして創業し国内7割のシェアを得ていましたが、バブル崩壊の影響から2003年の売上が1992年の3分の1まで落ち込みます。そこで旗ポールに次ぐ第2の柱として新しく参入したのが「車止め」でした。
一般的なデザインの車止めが流通しているなか、市場にインパクトを与える新しいコンセプトの商品として、鳥が配置されたピコリーノが開発されました。
販売当時、子どもが車止めの上で遊んで怪我をする事故が多発していました。
そのなかで、公園管理者の「車止めに飛び乗って転倒する事故が多くて困っている」といったつぶやきがきっかけとなり車止めによる子どもの転倒防止を目的として開発されました。
では、なぜ車止めの上部に金属製の鳥を配置するようになったのでしょうか。
その理由は、無機質な車止めは公園にふさわしくないといった開発者の想いから、かわいらしい鳥のデザインになったといいます。
こだわりようは鳥の形状にも表れており、単純に同じポーズの鳥が並んでいるわけではなく、向きも形状も異なる鳥が配置されています。
とくに4羽のうち1羽だけほかの鳥から離した「はぐれ鳥」にしているのが特徴です。
これも、「1羽を離すことで情緒が生まれ、物語が生まれる」という開発者の想いを反映されたものとなっています。
そんなピコリーノは、これまで累計で1万1000台以上を売り上げているヒット商品です。
また、ピコリーノを開発したサンポールは広島県の企業ですが、他県にも進出しており、有名なのが神奈川県の江ノ島です。
江ノ島駅前にピコリーノが設置されており、季節ごとにさまざまな洋服を着せてもらう「江ノ電スズメ」としても話題になっています。
さらに、サンポールが世に送り出している商品はピコリーノだけではありません。
鳥の代わりにカエルが乗った「KAERU」も新商品としてデビューしています。
創業50年を目前に控えた2019年に、ピコリーノをリスペクトしつつピコリーノと同様の想いを込めて開発されました。2020年の売上では2021年2月時点で48億円と好調です。
また、スチール製のガードパイプにサンポール独自のユニットを組み合わせた「インパクトボラード」という商品も登場し、この商品は40km/hの衝撃を受け止めることが可能となっています。
このようにピコリーノをはじめ、ユニークな商品を生み出し続けているサンポールですが、なぜこのような革新的な商品を生み出し続けることができるのでしょうか。
株式会社サンポールの担当者は次のように語ります。
「弊社には提案制度があり、全社員が『こんな製品があったらいいな』というざっくばらんな意見を提案できる仕組みがあります。現に、そういったところから生まれている商品もいくつかあります。
昔は、製品の開発は開発部門だけがやっていましたが、それだと上手くいかない部分もあり、営業部門や技術部門など他部門の方たちと一緒にグループを作り製品を開発するPJ(新事業企画プロジェクト)を立ち上げました。
そうしたことで、誰でもアイデアをだしやすい土台を常につくり続けていることが現在の商品開発につながっています」
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無機質でシンプルなデザインが多い車止めですが、サンポールが開発したピコリーノのような車止めは公園などにもマッチしており遊び心が加わった革新的な商品といえるでしょう。
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