女子大生キラー「ソアラ」誕生物語 元祖ハイソカーは40周年

未来が詰まったコックピット

 ソアラの開発が明るみに出た1970年代末頃には、ファストバック・スタイルを持つクーペの想像図が、「トヨタ2000GTの再来」という扇情的なコピーとともに自動車メディアの誌面を賑わしていた。

 しかし実際に姿を現したソアラは、ロングノーズ&ショートデッキの、エレガントだがコンベンショナルなノッチバッククーペであった。

●当時の日本車にとっての“未体験ゾーンへ”

ソアラは、デビュー年となる1981年に第2回日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞
ソアラは、デビュー年となる1981年に第2回日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞

 そのプロポーションはメルセデスやBMWなど、当時の高級クーペのセオリーに従った上品なものである。たとえば当時のライバルだった日産「レパード(初代)」などに比べると、ボディラインはコンサバ的にも映る。

 しかし実際は、プレスドアの採用などでフラッシュ・サーフェス化が図られる一方、トランクリッド後端をダックテール状に処理するなどの入念な空力処理が施された結果、空気抵抗係数(Cd値)は0.36、揚力係数は0.12と当時としては極めて優れた空力特性を持つに至った。

 一見コンベンショナルなエクステリアに対し、ソアラの先進性が遺憾なく発揮されたのがインテリアである。特にダッシュパネルは、ソアラの真骨頂であるデジタル表示のスピードメーターに、発光ダイオード(LED)式のタコメーターを組み合わせた「エレクトロニック・ディスプレイ」が採用されるなど、1980年代初頭の世界最先端テクノロジーを積極的に採り入れている。

 また、VXやGT系などの上級モデルにはクルーズコントロール、マイコン制御オートエアコン、メモリー機能付きシートリクライニング、高級カーオーディオなどの当時最新のエレクトロニクス装備も用意される上に、集中ドアロック、パワーウインドウ、電動リモコンミラーなど、すでにクラウンやマークIIなどで実績のあった豪華装備は、ほとんどのグレードに標準装備されるとう贅沢さであった。

 結果的に、当時の日本自動車界において第一期パワーウォーズと並行して展開されていたテクノロジー競争、あるいは「日本初・世界初」のタイトルを巡る争いをさらに激化させる仕掛け人的な存在となってしまうのだ。

 しかし、ソアラの優位性を決定的なものとした最大の要素は、やはりGT系のエンジンにあったといわねばなるまい。当時のクラウンなどに搭載されていた5M-EUに、ヤマハ発動機の開発によるヘッドを組み合わせた5M-GEU型2.8リッター直列6気筒DOHCである。

 トヨタとしては2000GTに搭載された「3M」型以来となる6気筒ツインカムで、静粛性向上のためラッシュアジャスターやコッグドベルトによるカムシャフト駆動などを採用。総排気量2759ccから170ps(旧JIS値)と、当時の国産車としては最高の出力を誇っていた。

 それは、開発当初から仮想ライバルとしたメルセデス・ベンツ「380SLC」やBMW「635CSi」などと比べても遜色ないレベルであり、CMで「未体験ゾーンへ」と謳ったとおり、当時の日本車にとっては初めて達した領域といえるものだった。

 一方、廉価版の2リッターモデルに搭載されていたのは、125ps(旧JIS値)を発生する1G-EU型直列6気筒SOHCエンジンである。上記の2.0SOHC/2.8DOHCとも、変速機は5速マニュアルのほか、2ウェイ式オーバードライブのついた4速ATを選択することができた。

 発売から4ヵ月後となる1981年6月には、同時期のクラウンと共用となる2リッターSOHCターボが追加されたほか、1983年2月のマイナーチェンジでは2リッター「ツインカム24(1G-GEU型)」を搭載する2.0GTが追加される。さらに1985年1月には最上級版が3リッター化されるなど、シリーズを通じてエンジンの強化が継続されることになった。

 そして「このクルマのテクノロジーは、すべてのクルマの進化のために」とまで胸を張ったソアラは、エレクトロニック・ディスプレイに代表される先端技術が評価され、デビュー年となる1981年には第2回日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。「技術のトヨタ」という、従来の同社には望み得なかった企業イメージを獲得したのである。

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