二輪車エンジン搭載の四輪車なぜ少ない? 販売は過去3例? 同じエンジンでも異なる訳
同じエンジンなのに…。 二輪車と四輪車のエンジンは何が違う?
二輪車と四輪車のエンジンで最大の違いは、四輪車はトルクを、二輪車ではパワーを重視するところです。
例として、二輪車「GSX-R1000R」とスズキの四輪車「クロスビー」を比較してみていきます。
いずれも排気量は1リッターですが、最高出力はGSX-R1000Rが197馬力/1万3200rpmに対し、クロスビーが99馬力/5500rpmと、二輪車のほうが倍以上のパワーを絞り出す高回転高出力型のエンジンとなっています。
逆にトルクでは、GSX-R1000Rが117N・m(11.9kgf・m)/1万800rpmに対して、クロスビーが150N・m(15.3kgf・m)/1700rpmと逆転しています。
加えてクロスビーは、ほとんどアイドリングに近い状態から最大トルクを発生させていることがわかります。
エンジンのキャラクター性を決めるといわれるボア(シリンダーの内径)×ストローク(行程)を見ると、GSX-R1000Rは76.0×55.1mmとショートストロークの高回転型、クロスビーは73.0×79.4mmとトルクを重視したロングストローク型でとなっています。
もちろん、同じ二輪車であってもGSX-R1000Rなどに代表される軽量なフルカウルのスーパースポーツと、ハーレーダビッドソンなどに代表される重量級クルーザーでは求められる走行性能やテイストも異なるため、トルクの特性も大きく変わってきますが、重量のあるモデルほど低速トルクを重視した傾向にあるといえるでしょう。

一方で、四輪車のエンジンを搭載した二輪車の例は、フォルクスワーゲン「ビートル」のエンジンを搭載して、当時世界最大の排気量の二輪車として有名だったブラジルの「アマゾネス」のほか、総GM製V型8気筒エンジン搭載の米国「ボスホスモーターサイクル 」などがあります。
アマゾネスの場合は、ブラジルで生産していたビートルのエンジンを比較的容易に調達できたという理由から採用されたもので、外装の大半はFRP製となっていました。
対して米国のボスホスモーターサイクルは、排気量6,156ccから最大8200ccのエンジンを搭載したモデルを製造しており、約600kgほどある車体にも関わらず、大排気量V8エンジンのおかげもあり、余裕のあるクルージングが可能となっています。
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二輪車と四輪車は、同じ内燃機関であるエンジンを搭載しますが、それぞれに必要とされる特性が異なります。
今後、ますます厳しくなる環境問題に対応するために合理化を進めるとしても、二輪車と四輪車でエンジンを共用することは試験的にあったとしても製品化される可能性は低いのかもしれません。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。





























