どうしてアウディはデザインの都ミラノでワールドプレミアを開催するのか
デザインの祭典「ミラノサローネ」にアウディが参加していた理由とは
2021年4月16日、午前と午後に分け、ジャーナリスト60人が招待され、厳重なコロナ防止対策のなか、ピュアEV SUVとなるアウディQ4 e−tronの発表会がおこなわれた。
ヴァーチャルでの発表会が続いているなか、アウディにとってはひとつの賭けであったが(ミラノがあるロンバルディア州がレッドのままだったらどうなっていただろう)、この時期に実車を間近に見ることができる発表会は、パンデミック真っ只中でイベントが中止続きの自動車業界に少なからぬ勇気を与えたのではないだろうか。
発表会の後は、ミラノ・デザインウィークのイベントの一環として、BAM(木の図書館)緑の公園内に建築家マリオ・クチネッラのプロジェクトによるインスタレーションがおこなわれ、そこに「Q4 50 e−tronクワトロ」が1日限り展示された。
流れるようなカーブで作られた円形劇場のようなインスタレーションは、素材の木が公園のグリーンと溶け合っており、そこにいるだけで安らかな気分になり、デザインの魅力をしっかりと感じたひとときだった。アウディが街の各所に「デザイン」が介在しているというミラノを選んだ訳が分かるような気がした。
その翌日からQ4 50 e−tron クワトロは、ミラノの高級ブティック街、モンテナポレオーネ通り18番に運ばれていき、ミラノ・デザインウィークの期間中、一般公開された。ワールドプレミアされたばかりのクルマを、街の真ん中で実際に見ることができる機会はあまりないだろう。
同時にモンテナポレオーネ通りには、アウディの宣伝パネルが並び、目をひく真っ赤な「RS e−tron GT」も展示されていた。
ここではアウディの担当の方が丁寧に対応してくれた。イタリアでは4下旬から注文を受付けし、納車は2ヶ月後となっているそうだ。
また、「何故この時期にミラノでQ4 e−tronの発表会をおこなうのか?」と訊ねてみた。するとアウディの担当者は次のようにコメントしてくれた。
「毎年ミラノサローネに参加していたように、アウディはデザインにとても重きを置いているのです。
このデザインというものは、は暮らし全体のことなのです。ミラノは街も人もデザインを尊重し、人々の暮らしのなかにデザインがあるのです。
そんなミラノに敬意を表し、ミラノで発表することになったのです。会場も、今ミラノで一番ホットなデザインの地区を選びました。
もちろん、これからもミラノサローネには参加し続けます。これからの自動車業界にとって、直接クルマには関係していないかもしれませんが、境界線のないデザインのある暮らし、それが自然な姿で表現できているミラノのような街は、とても重要なのです」
アウディは今後5年の間に25のモデルを発表する予定で、2030年以降はすべてEV車に切り替えるという。
どのメーカーもパンデミックのなか、試行錯誤を繰り返しながら、これからの人々の暮らしを予想しているかもしれない。そしてそれに自動車業界がどう寄り添っていくことができるのか。
皆が想定しているように、本当にEVだけの世界がやって来るのだろうか? 何はともあれパンデミックが収束した後の自動車業界は、EV戦争が熾烈になりそうな予感がする。
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