激熱ヤケド注意!! ルノー・スポール渾身の「スピダー」と「クリオV6」とは
「サンクターボ」の再来と謳われた「クリオV6」とは
「ルノー・スポール・クリオV6」は、スピダー・トロフィーの後継車たるレースバージョン「クリオV6トロフィー」として、1998年のパリ・サロンにて発表された。
コンセプトやデザインは、1980年代に同じルノー・スポールが開発・生産した伝説の怪物「5(サンク)ターボ」を思わせるもので、その魅力を感じ取ったファンたちからロードバージョンを求めるリクエストが殺到。その結果、新たに公道用ロードカーとしてのモディファイやディチューンが施されたのち、2000年11月から、まずはフランス本国内マーケットで販売が開始されることになった。
●2002 ルノー・スポール「クリオV6(230)フェイズ1」
基本的な成り立ちは、2代目「クリオ(日本名ルーテシア)」のボディ/シャシに大幅なモディファイを加え、3リッターV6エンジンをミドシップに搭載する2シータースポーツカーとしたもの。サスペンションは、前後とも専用設計のストラット式とされた。
前後バンパーやフェンダーはワイド化された専用パーツを新規製作し、ボディのサイドパネルは一体成型。また両サイドのリアフェンダーには、この時代のF1マシンを思わせる意匠のエアスクープが設けられ、大排気量エンジンの冷却とインダクションシステムへのエア供給がおこなわれている。
パワーユニットは、クリオV6トロフィーもロードバージョンのクリオV6も、DOHC24バルブヘッドを持つ2946ccの自然吸気V型6気筒エンジンとなる。同時代のルノー「ラグナ」に搭載されているものと共用ながら、圧縮比や吸排気系の再チューンによってレブリミットを引き上げ、最高出力230psを発生する。
トランスミッションは6速MTが組み合わされ、ロードバージョンでも0-400m加速14.5秒、最高速235km/hという、現代のリアルスポーツに相応しい高性能を獲得した。
ちなみに、ロードカーの開発を担当したのは、1980−1990年代にジャガーのレース活動を受託して、同社のル・マン制覇を主導、さらに世紀の変わり目には「F1アロウズ・チーム」のマシン開発やチーム運営も担当していた英国「TWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)」である。
また市販車の生産も、南仏ディエップの「ルノー・スポール」ファクトリーではなく、TWRがスウェーデンのウッデバラに構えた工場でおこなわれることになった。
2003年春、クリオV6は「フェイズ2」と呼ばれる後期モデルに移行。フロントマスクを大幅に変更し、生産拠点は英国TWRからルノー・スポールのディエップ工場、すなわち往年のアルピーヌのファクトリーへと移され、クオリティの向上とデリバリーの安定化が図られることになった。
またV6エンジンにはさらなるチューンが施され、最高出力は255psに達した。さらに、リアのサブフレームの剛性アップやサスペンションのアライメント変更。タイヤ/ホイール径を17インチから18インチに拡大するなど、シャシに大幅に手が加わり、フェイズ1ではトリッキーと評されたハンドリングも格段に安定し、スーパースポーツとしての資質を確実に高めるに至った。
このほど「The Race Retro Live Online Auction 2021」に出品されたクリオV6は、フェイズ1と呼ばれる前期モデルである。わずか223台しか作られていないという右ハンドルの英国マーケット仕様車のひとつで、2002年4月に初登録されたという。
3月28日に締め切られたオンライン入札では2万9813ポンド、日本円に換算すれば約452万円で無事落札となったが、これは現状のマーケット相場にほぼ即したものと思われる。
シルバーストーン・オークション社は公式WEBカタログ内で「近い将来、間違いなく“クラシック”となるでしょう」と記しているが、筆者も同意見である。
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