吉村不二雄社長に聞いた! ヨシムラSERT MOTULがEWCに参戦する理由といいバイクの定義とは
2020年以降、全日本ロードレース選手権へのフル参戦をやめ、2021年はヨシムラSERT MOTULとして、世界耐久ロードレース選手権へのフル参戦を発表。日本の2輪レース業界を牽引してきたといっても過言ではないヨシムラは、いったいどこへ向かっているのでしょうか。吉村不二雄社長に、聞いてみました。
世界でのブランド力を向上させたい
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2020年の全日本ロードレース撤退や、2021年世界耐久ロードレース(EWC)へのフル参戦発表など、ロードレース界で注目を集めるヨシムラSERT MOTUL。2輪のレース業界を牽引してきたといっても過言ではないヨシムラは、いったいどこへ向かっているのでしょうか。吉村不二雄社長に、聞いてみました。
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―――EWCへのフル参戦を決めた理由を教えてください。
ブランド力を高めるためです。ヨシムラとしてはもちろんですが、スズキやモチュールなど、各スポンサーも含めたブランド力をさらに高めたいと考え、決断しました。
全日本もそうですが、国内だけで活動をしていても、なかなか世界では認知されにくいので、一番間違いなく商品力が認知されるのは世界選手権と考え、そのなかでも世界耐久選手権に活躍の場を定めました。
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―――全日本ロードレース選手権の開幕戦にスポット参戦を決めた理由をおしえてください。
EWCに参戦するにあたり、常にバイクを進化させなくてはなりません。
全日本ロードレースへスポット参戦をしながら、ライダーやメカニックをマシンの開発に携わらせることで、問題点を洗い出し、EWCのマシンにフィードバックさせて、EWCマシンの戦闘力をアップさせていくことが目的です。
―――今季ヨシムラが使用するEWCマシンと全日本マシンの主な違いを教えてください。
マシンはどちらも同じです。EWCで使うマシンとまるっきり同じマシンで、全日本にスポット参戦しています。
全日本はスプリントレースなので、燃料タンクを小さくすることもできるのですが、そういうことはしていません。
タンクはライダーが直に触れるものなので、形状などいろいろと非常に大事なんです。そのため、すべて耐久仕様のままで使用しています。
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―――吉村不二雄社長が考える、いいバイクとはどんなバイクですか?
究極をいうと、レーサーマシンが一番バイクらしいバイクなんですよ。純粋に速く走らせるためのバイクを作ると、公道で普通に走ってもいろいろと遊べて楽しい乗り物になる。
これは、公道で限界までスピードを出せという意味ではなく、レースをすることで本当のバイクのバランスが分かるんです。それを、ストリート用にすることで、安全性を含めて、バイクの持っている本当の面白さを引き出すことができるんです。
だから、ヨシムラとしてレースを戦いながら、その技術をフィードバックした製品で作ったバイクは、乗っていて楽しいバイクになると思っています。
ファッション業界でいうと、最高峰にあたるオートクチュール。それを目指して、みなさん新しいブランドを立ち上げたりする訳じゃないですか?
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レースも同じで、メーカーも含め、こうやって戦闘力をあげて行こうとなどと試行錯誤する訳で、それがあるから進化していくんです。だから、ただ走れるだけでいいのであれば、おそらくここまで進化はしなかったと思います。
自分たちがレースなどで限界を追求していくことで、エンジンのパワーアップができたり、デザインが新しくなったり、これまでとは違ったスタイルが出てくるなど、レースマシンという究極のオートクチュールを作り上げていく過程で、市販向けにもいいバイク、面白いバイクができていくのだと考えています。
カッコいいマフラー、パワーが出るマフラー、オートバイのマフラーにも色々ありますが、例えばレースで使って優勝したマフラーとなると、やっぱりそれが主流になれる訳ですよね。
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