なぜタイヤに「窒素ガス」流行? 費用対効果は微妙? 空気と異なる特性とは

窒素ガス、元々は航空機で使用されていた?

 タイヤに窒素ガスを充填するという考えは、自動車の世界から誕生したわけではありません。

 航空機のタイヤでは古くから窒素ガスが使用されていました。そこには航空機のタイヤならではの事情が存在します。

 まず、航空機のタイヤは離着陸時には300km/h以上の摩擦熱に耐えながら、上空ではマイナス50度という低温に晒されるという、非常に激しい温度変化のなかで使われます。

 そのため充填する気体は温度変化があっても体積が変化しづらい気体である必要があるのです。

 また、航空機のタイヤは摩擦した表面を張り替えて続けて使用する「リトレッド」をおこなっています。

 タイヤの構造材に使用されている金属やホイールを長持ちさせるために、錆の原因となる酸素が含まれている空気の使用は避ける必要があります。

 そして、もし事故が発生した場合に酸素がないと火元とならないという安全面の理由もあるのです。

航空機用のタイヤは窒素ガスが入れられている
航空機用のタイヤは窒素ガスが入れられている

 内圧の管理が一般的な使用方法よりもシビアな世界であるモータースポーツでは、窒素ガスが使われていることが多くあります。

 しかし、近年では窒素ガスだけでなく、内圧変化の原因となる水分を取り除いた乾燥空気を使用する場合もあるようです。

 また、近年ではモータースポーツの世界だけではなく、日産「GT-R」などの高性能市販車でも、ノーマル状態で窒素ガスが使用されていることが増えてきました。

 クルマの性能が進化し、タイヤに求められる性能が高くなってきたことが要因だといえます。

 窒素ガスは、タイヤの空気を抜けづらくしたいと思う人よりも、安定してタイヤの性能を引き出したいと思う人にオススメといえるかもしれません。

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Writer: 西川昇吾

1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。

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