軍用から始まったSUV黎明期の立役者「初代ディフェンダー」が今なお至高の存在である理由【中古車至難】
いまやメルセデス・ベンツ「Gクラス」やジープ「ラングラー」のように、オフロード性能の高いハイレベルなSUVが数多く存在する時代となった。そんななか、現代においてはお世辞にも高性能とはいえないレトロな「初代ディフェンダー」が、車好きに選ばれ続けるその魅力は一体どこにあるだろうか。
実戦仕様の飾らないかっこよさ
自動車メディアでの仕事が長くなってくると、どうしてもいろいろな意味でスレてしまい、街でスーパーカーや希少車を見かけても「とくに驚きもしないし感動もしない」という精神状態にもなっていく。
だがそのようにスレてしまった人間でも、見かけるとつい「おっ!」と盛り上がってしまうクルマが少数ながら存在する。
そのひとつが初代ランドローバー「ディフェンダー」だ。
2020年4月には新型のディフェンダーが発売されたわけだが、初代ディフェンダーが登場したのは1948年のこと。といっても当時はディフェンダーという車名ではなく、「ランドローバー」という非常にシンプルな車名だった。
●1945年 ランドローバー シリーズI
このランドローバー・シリーズIは、英国陸軍の特殊空挺部隊「SAS」に制式採用されたほどの屈強なオフローダー。そしてシリーズIからシリーズII、シリーズIIIへと代を重ねていったランドローバーは1983年、マイナーチェンジにあたって「ランドローバー90/110」へと車名を変更。90または110という数字はそれぞれのホイールベースを表していて、単位は「インチ」である。
そして1985年、バンとピックアップの127インチホイールベース版である「ランドローバー127」が追加されたが、この時点でのランドローバー車のラインナップは、無骨なオフローダーであるランドローバーのほかは、高級SUVであるレンジローバーだけだったため、車名の種別は非常にはシンプルだった。
だが1989年に第3のモデルとして「ランドローバー ディスカバリー」が誕生したことで「ランドローバー90/110/127」のネーミングは少々微妙になった(わかりづらくなった)。そのため1991年、ランドローバー90/110/127の車名は「ディフェンダー90/110/130」へと変更された。ちなみに130というのは「切りがよいから」というだけの意味で付けられた車名であり、実際のホイールベースは127インチのままである。
2005年以降、新型が導入されるまでディフェンダーの正規輸入は途絶え、並行輸入車だけが流通していたが、それまでは正規輸入モデルも販売されていた。
正規モノの「ディフェンダー90」はV型8気筒ガソリンエンジンにATを組み合わせ、1997年から1998年にかけて1050台を販売。もうひとつの「ディフェンダー110」は直列5気筒ディーゼルターボ・エンジン+MTで、2002年から2004年にかけて正規販売されたモデルだったが、いわゆるディーゼル規制によって販売終了となった。
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