競走馬輸送中! 超VIPな競走馬を乗せて走る「馬運車」の正体とは?
競走馬が快適に移動できるようにエアサス採用&エアコン装備
気になる馬運車を詳しくチェックしてみたいと思います。
馬はもともと嗅覚や聴覚、また振動など環境の変化に敏感で神経質な生き物です。ましてや競走馬となればその価値は数千万円から1億円を超える馬もいます。
超VIPの競走馬に搭乗してもらうための特別仕様とは、どのようなものなのでしょうか。
まず目につくのは、片側だけで前2輪、後2輪の全8輪仕様となっていることです。ロシア製の水陸両用車や軍用車並みのタイヤ数ですが、これもすべて乗り心地を重視しているためです。
さらに前後2か所ずつコンプレッサーを装備したエアサスペンションを採用。これだけでアメリカの大型車カスタムよりすごい架装が施されています。
「後ろの扉は地上へのスロープとなるゲートを兼ね、荷台部分は最大6頭まで搭乗可能できる馬房になっています。
しかし競走馬を輸送する場合は最大でも4頭までとし、乗降性を高めるためにエアサスを操作して車高を下げることもあります」(日本馬匹)
キャビンに装備されているドアは観光バスのような電動スイング式と普通のトラックのドアが混在。
これは近年厳しくなった衝突安全基準の変化に伴いますが、インパネやステアリングなど運転席まわりは、どの車両もベースとなるトラックのままという不思議な作りになっているのも大きな特徴です。
またキャビンには厩務員の乗車スペースのほか、ドライバーの休息や仮眠用のベッドも備えられています。もちろん、後部の馬房を確認できる窓や馬房に出入りできる専用扉も装備されています。
さらに、馬房には馬の様子を常時監視できるカメラを設置し、キャビンに設置されたモニターでドライバーや厩務員が随時確認できるようになっています。
馬房内の床面は弾力性のある分厚いゴムが敷き詰められ、馬のお尻を保護するクッションまで装備。さながら馬専用の高級リムジン並みの設備となっています。
なかでも、暑さに弱い馬のため、馬房専用の強力なエアコンも搭載。馬は汗っかきな生き物とのことで、夏場でも車内温度を20℃程度に調整するなど、馬に不必要な負担を与えない快適な空調システムが搭載されています。
「長時間輸送のストレスが一因となり、『輸送熱』という発熱を伴う体調不良を起こすこともあるほど、馬はデリケートです。
輸送での精神的負担を少しでも減らすためにほかの馬が見えないようにするための間仕切り用カーテンなども設置していますが、ドライバーたちも急ハンドルや急発進・急ブレーキなどを極力控えた馬に優しい運転を心がけています」(日本馬匹)
また全車IP無線を搭載。基地局ではGPS機能によって位置情報を常に把握しており、事故や渋滞、工事など道路事情の急変更の情報を交換することで、スムーズに輸送する努力がされているのだそうです。
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馬運車に乗る競走馬は、競馬界のメジャーリーグともいえるJRAのレースに出走するためのアスリートです。そんな精鋭たちを運ぶのですから、やはりクルマもスペシャルな仕様になるのも当然です。
ちなみに馬運車のドライバーは競走馬を競馬場まで無事に送り届けた後、今度は当日のレースを終えた競走馬をトレーニングセンターまで乗せて帰るのが通常業務の流れだといいます。
ただでさえ長距離輸送は疲れる職業なのに、神経を使いながらの輸送。長距離の場合にはツーマン運行(2名交代制)をするなど法令遵守が行き届いているようですが、やっぱりクルマ好きで馬への特別な思いやりが必要な職業だといえます。
皆さんの会社や町に出張してくるレントゲン車もうバスベースとトラックベースがありますが、確かにバスは最近は低床化が進みモノコックを採用して競争馬輸送などの改造には不向きな面もありますね。
但しバスの低床は一定面積を満たせば税制面で有利ですが駆動系の取り回しの都合で車内の凹凸は以前のバスより酷くなってます。
今でも各地でボンネットバスなどトラックベースのバスは活躍してますが、昔はフロントエンジンのキャブオーバー型の大型バスもありました。
競争馬輸送車の発想は消防庁の機材運搬を兼ねた隊員の待機できる設備を備え車両にも応用されてますが、問題は整備性の問題で、トラックキャブのように貫通式でもキャブチルトができる車種もあれば床下整備を強いられる車種もありますね。
低床4軸車両は全高制限を最大に使うべく床を低くする為にある車両ですが競争馬輸送には適した車種と言えますが、車両価格が高いのとダイヤを喰うデメリットもありますね。
因みに私ですが、競争馬輸送車には近づかないようにしてます、事故ったら競争馬のほうが人より価値が高いですからw
最後に競争馬輸送車のベースである型式は日野はFW型でISUZUはCYJまたはCYHかCXHですね。