【1600★てんとう虫】ブガッティ「ディーヴォ」の製作過程ぜんぶ見せます!

カスタマーの要望にはすべて応えることがブガッティの信条だが、それがいかに大変であるかを物語る1台の「ディーヴォ」が誕生した。「レディー・バグ」と名づけられたディーヴォの製作の裏側に迫る。

ブガッティ初となるフェードパターン

 2018年8月におこなわれた、ブガッティ「ディーヴォ」のワールドプレミア直後の話である。

 カスタマーのオーダーに対しては、ボディカラーやインテリアの仕様など、すべてに対して100%応えることをコンセプトとしていたブガッティだが、あるカスタマーからの提案に、ブガッティは一瞬驚きを隠せなかったという。

●立体的であるが故の難しさ

「カスタマースペシャルレッド」と、ブラック系の「グラファイト」がボディカラーに採用された
「カスタマースペシャルレッド」と、ブラック系の「グラファイト」がボディカラーに採用された

 そのカスタマーの提案というのは、ボディワークに幾何学的で動的なアルゴリズムによるフェードパターンを採用すること。

 簡単に表現するのならば、ある均一な図形でボディカラーを徐々に変化させていくという、ブガッティ自身にとっても初の試みだった。

 オーダー主であるアメリカ合州国のカスタマーが望んでいたのは、ダイヤモンドの形からなる厳密な幾何学模様であった。

 その後、そのカスタマーとの話し合いによって、採用するカラーは「カスタマースペシャルレッド」と呼ばれるレッドと、ブラック系の「グラファイト」に決定した。

 だが、話はそれで終わるほど簡単ではなかった。ブガッティのチームがここで直面したのは、ダイヤモンドのパートを車体に正確に塗装することがどれほど難しいかという問題だった。

 もちろん、塗装のパターンに関しては最新のCADが使用されたが、プログラムされたパターンはカスタマーが望むものとはまったく似ていなかったのだ。

 その理由は、ベースとなるディーヴォがいかに立体的で、かつ彫刻的な造形を持つのかの証明でもあった。

ブガッティでも初となった、幾何学的で動的なアルゴリズムによるフェードパターンを採用
ブガッティでも初となった、幾何学的で動的なアルゴリズムによるフェードパターンを採用

 2D印刷されたダイヤモンドは、ディーヴォのボディ表面で歪んでしまい、その結果として、ひとつひとつのダイヤモンドはデジタル的にデザインを修正する必要があった。たった1mmの違いが、クルマ体全体の美しさを台無しにしたのである。

「レディー・バグ」、すなわち「てんとう虫」とネーミングされたワンオフモデルのディーヴォには、ルーフライン、ドア、リアフェンダーエッジに、約1600個のダイヤモンドパターンのデザインをおこなう必要があった。

 非常に複雑で時間のかかる作業であったことはいうまでもない。デザイナーがその結果に満足するまでには数週間の時間と6mにも及ぶフィルムを必要としたという。

【画像】ブガッティの超絶技巧の製作現場とは(58枚)

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