「生き様が見本」 伝説級名車「NAロードスター」の肝となる部分は何だった? マツダの主査に聞く
「だれもが、しあわせになる」
インタビューにあわせて、筆者(桃田健史)は久しぶりにマツダの広報車として現存する初代「ロードスター」(NAロードスター)に乗りました。
感想は、素直に「とても楽しい、とても嬉しい」というものでした。
走行距離は2万km台で、仕様もオリジナルのままという極上車であることもあり、NAロードスターの誕生から30年以上もの月日が流れていることを、ふと忘れてしまいます。
だから、いろいろなところに出かけてみたくなりました。
カリフォルニアを思わせるようなパームツリーが立ち並ぶ沿岸地域、また江戸の情緒が心に染みる下町界隈。どんなシーンにも、ロードスターは自然に馴染みました。
そして、乗る者の気持ちが“ときめいて”いきました。
こうしてNAロードスターと過ごしながら、改めて“あの言葉”を思い出しました。
「だれもが、しあわせになる」
NAロードスター発売当時のユーザー向けカタログに、そうあります。さらに、次のように続きます。
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街の通りを、はじめて見る小さなスポーツカーが、幌を開けてそれは元気に走っていく。セダンの男が振り返る。歩道をいく女性が立ち止まる。見慣れた街の風景が、いっぺんに華やぐ。
2人しか乗れないし、バゲッジもそうは積めないし、ひょっとすると、人とは少し違って見えるかもしれないけれど、走らせる楽しさは、これがいちばん。
ドライバーとスポーツカーのそんな軽やかな気分が、きっと、だれもの心をときめかせるのだろう。
ユーノス ロードスター。
基本は、小振りのオープンボディ、タイトな2シーター、FR。機械であることを超え、心の通いあった馬を操るように駆ける「人馬一体」の楽しさを純粋培養した、新世代のライトウェイトスポーツ。
お届けするのは、人とクルマの新しいときめきを創造するまったく新しいカーチャンネル「ユーノス」。このクルマを手に入れるほんの少しの勇気を持てば、きっと、だれもが、しあわせになる。
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ロードスターのワールドプレミアは、1989年2月の米シカゴショー。日本でいえば、まさにバブル期の真っただ中。
当時のマツダは販売網の多チャンネル化への道を踏み出し、それは結果的にマツダにとって大きな負担となるのですが、そうした時代だったからこそ、マツダの新たなる道を切り開くためにロードスターが世に出ることができたともいえます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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