東日本大震災、10年前に中国車が日本を救った? 超法規的措置で導入! 1億5000万円ポンプ車の現在

寄贈されたコンクリートポンプ車。10年経った現在はどうなっている?

 日中友好の新たな歴史を作った三一重工のコンクリートポンプ車。日本に寄贈されてから間もなく10年になりますが、今はどうなっているのでしょうか。

 東京電力ホールディングス株式会社福島本部福島広報部に尋ねたところ、以下の回答をいただきました。

「当該ポンプ車は、現在も福島第一原子力発電所構内に保管されています。
 保管の目的は緊急時に活用するためです。動作確認により現在も使用できることを確認しています」

 前出のWWB社長は次のように話しています。

「現在でも車両動作の定期点検が必要です。ベースとなる車両やすべてのパーツが正しく作動するか?など各種のテストもおこなっています」

 WWB社はメンテナンス作業の必要な手伝いや各種の整備でパーツ交換などもすべて無償でおこなっているとのことです。

 なお、当時は数車種のコンクリートポンプ車(中古)が購入されましたが、ブームが短かったり、遠隔操作できないタイプであったり、なかには品質が悪い車両もあったようで現在は三一重工から寄贈された車両のみが、現役で頑張っています。

福島第一原発へ注水作業を行う当時の様子(写真提供:東京電力、WWB(株)、川添智弘、加藤ヒロト)
福島第一原発へ注水作業を行う当時の様子(写真提供:東京電力、WWB(株)、川添智弘、加藤ヒロト)

 10年前、原発を冷やすための注水作業については新聞やテレビのニュースなどで多く報道されましたが、中国から寄贈されたコンクリートポンプ車について言及している記事はわずかであり、多くの日本人はこの事実を知らないでしょう。

 ましてや10年経った現在も、三一重工やWWBの協力によって定期的にメンテナンスがおこなわれ、有事の際にすぐに出動できる体制を整えていることまでを知るのは限られた関係者だけだと思われます。

 汚染水の処理など今後、解決していくべき問題もありますが、10年前の3月にいち早く、原発の冷却に成功できた背景には寄贈元の三一重工、積極的に協力をおこなった代理店WWB株式会社をはじめ、日中政府や多くの組織、機関、関わる人々の協力によって成し遂げられたことは後世に残したい記憶です。

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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